ある老人が言った。
「倒産しない秘伝がある。」
という。そばにいた男が
「どういうことなのか聞かせていただけませんでしょうか。」
と頼んだ。それ答えた。
「ならばどういうことか考えてみたら如何でしょう。本来は誰であっても無くならない物なのです。裸でいれば、モノを落としてなくしようもないのです。」
自分が持っているものだけ皆に与えたところで、他人は損するものではない。人から返済の見込みがないほど借りるから、ついに倒産するのです。一銭であっても借金しなければ、どのようになっても倒産しないのです。」
これがすなわち大事な秘伝である。一言の教えに非常に感動して言った。
「良い教えでございますな。ただ今まで金持ちの人を見るとみな借金があります。たとえ千貫目の財産なのに二千貫目の借金があれば、持っている財産はともかくもとからある千貫目では足りない。実に恐ろしいことです。私のような百目か二百目の金で一銭も借金しなければ、これを持って百目二百目の金持ちというものです。」
と言って去っていった。
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日本人の借金嫌いはこういう事なんです。
趣味で地主がどのように大きくなっていったかの本を読んでいると、結構えげつない取り方をしていたようです。通常の借金は年利8%。ほとんどバブルの時の金利と同じです。百姓に貸す種代は年利40%なんですよ。ちゃんと成長して収穫ができれば確実に返せますが、洪水で水田が流されたら目も当てられません。
土地建物を担保にして金を借りていたので、あっという間に水飲み百姓に転落、そして小作人になります。その上、その本に書いてあったのは、収穫した分は全部納めさせて飯米(自家消費分の米)を買わせていたらしいです。そりゃ借金したらoutですよ。