商人の欲は少なくあるべきだ。欲が深いのは、財産を持たない者のすることだ。欲が少ないときは、利益を貪ることない。売価を高くしないため売るときに少しの利益で元を取らなければならないと思い、まず売り先をよく、考えすぐに見つからなければ売らない。利幅を少なくして販売すれば、買いに来る人が増える。

また買う立場としても欲が少なければ、商品をよく注意してみて仕入れて、人よりずっと吟味する。払うのに無理もなく、互いに同じようなところを求めているので、相手の買い手は自然と恐れるところがあって、しかも大切にこちらが気づかないところまで、向こうから念を入れてくるようになる。これは人に嫌われない徳である。欲が少ない者は奢らない。奢らなければ銭の稼ぎが少なくても、財産相応に足りないことはない。元来使うことを当てにしないから、値引きしても金銀は減ることはない。

欲が深いと財産管理がうまくいかない証拠は、欲深い者はまず使おうと思っているから金儲けをしたがるので、金を稼ぐ先から使っている理屈だ。それでは家も持てないわけだ。初めから足りない計算である。だから、相応の小さい商売がだんだん面倒になって、あるいは米市に夢中になり、一発当てるつもりで自分のものでない物を当てにして金貸しにいったりして、ついには鳶やカラスの死骸のようにどこかに打ちやられてしまうものが多い。これは欲で身を保てない。よく考えて欲しい。

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金に困っているときの投資ほど危険なことはないです。一発逆転を狙っているので、考えているストーリーがまずありえないことを前提としていたりします。当人はいたって現実的だと思い込んでいたりするのですが。こうしてずるずると追加追加と投資を続けて行って失敗する例がかなりあります。

以前に裁判所の競売物件のコーナーで資料を読んだことがありました。今では掲載されなくなったようです。親会社の倒産で仕事がなくなり、一発逆転で投資をしたところ維持費に金がかかり、運転資金がなくなって・・・返せなくなって、他から借りてもっと首が回らなくなって、夫が女房と子供を置いて逃亡。そのうち、嫁も取り立てに耐えられず行方不明。倒産、破産。というのがありました。

詳細は書きませんが、家族経営の会社でそんなにやる必要がありますか?というような投資が原因でした。

事業をはじめるには維持可能であるかが最も重要な事、そのためには欲張ってはいけないのです。