一 男女ともに子供の間は仮にも嘘を言うようなことがあれば、諌めること。

一 些細な事を大声で叱り、あるいは厳しく折檻することは何度もやってはいけない。後で叱られることに慣れて戒めを聞かなくなる。中分以下の親は特に心得なさい。

一 物事を手短に教えて、行儀が悪いときは必ず戒めなさい。

一 薬を嫌がる子供に無理に飲ませようとすると、却って虫が出ると言って飲ませないと、後で一生の病気になる事を知らない親が多い。これを前に書いた姑息の愛で、目の前のいじらしさに溺れてはならない。一方で、病気でもないのに子供に養生や灸をしてはならない。よく医者と相談してから灸をしなさい。

一 娘は幼い頃からの育て方が重要であり、成人後に夫に仕えるべき道を忘れ、不埒な浮気者になることが多い。これは全て親の育て方が悪いからである。とかく女子はおとなしく短気にならないように教えてつつましやかにするのが重要である。

一 中分以下の男子は七八歳の時から、家業の他に興味を持たないように教え込むのが重要である。しかし、自分の家業も出世できないと思うようであれば、その子の才能に応じて商売を考えてやり奉公に出して、年季勤めを必ずさせて教えなさい。

一 三歳から五歳の頃は手蹟[1]などよく書かせた幼い子供は必ず成人になると、無駄遣いの多いだらしない人になるものだ。これは親からすれば器用であると、かわいがるので気儘に育つので、器用になりすぎないようにおとなしく育てるのが重要である。

全て幼い時に、欲を出すこと、口汚い事、親に口答えすること、勝負ごとにはまること、短気で他の子を殴って帰ることなど、こういうことは深く戒めなさい。貧乏な家の子が成人後に不幸になるのは、その親が自分勝手な行儀を教えてしまい、子供もそれを見習ってしまい良い行儀を分かっていない。知恵がつくに従い不品行になるのだ。こういう場合は、親の教えすらダメなときは、どれほど悪い性格に生まれても自然に善に変わり、家業に精を出す心でなければならない。親は子を育てる手段、その子供によってさまざまな事があろう。

 


[1] 手跡(しゅせき)は、筆跡の事。ここでは習字の手本。

 

ちっとこの辺りになると発達心理学の理論とはだいぶ違うので、このままやってしまうのは問題がありそうな箇所がいくつかあります。

先ず嘘を言うなはいいのですが、現実ファンタジーの区別がつかない年齢があるそうです。大体7歳ぐらいまでには区別がつくようになるようですので、本当に幼いうちからガミガミやってしまうのはもんだがあるそうです。

 

女の子の育て方ですが、おそらくフェミニズムが激怒しそうな内容です。でもこれは妥当すると思います。フェミニズムで有名でよくTVに出てくるT島さんを見ればわかると思いますが、女性の感情的なおしゃべりは男性にとってはハラスメントと変わりません。おっさんがエロ話をするのを女性が嫌がるのと同じレベルです。

だから感情的にならないように、場所を弁えておしゃべりするように躾けてやるのは親の勤めでしょうね。

 

本当の幼いうちからの英才教育ですが、無理強いはいけません。本人がやりたくて仕方ない状態に誘導してやる分にはいいのではないでしょうか。ただその才能が全てと言わんばかりの育て方をすると、ここに書いてあるような状態になってしまうでしょう。