「商人は商売をして利益を手に入れるのが勤めですから、どんなものであっても三文の利益であろうと財産が増えることがある時の手柄なのです。だからと言って道から外れた利益を取るようでは、千万両に増やしたところで、最後まで続かないものですな。こんなことはこの愚僧が言わなくても百も承知、二百も合点しているところでしょうが、たとえどれだけ利口な人であっても、千のうち一つでも過ちがあれば、耳を出して聞くばかりのことで、今宵は出家という身分を離れて、金持ちになったつもりで説法をしましょう。まずは商売人は太っ腹である一方で随分ケチであるのがよい。そうはいってもそのケチには色々あるのじゃ。
例えば欠けてはならないものに義理とふんどしという通り、やらねばならない義理ごとの場所では、金銀を惜しまず使わなければならないもの、またその義理にもいろいろあるもの。あなたは五旬という年なので、その判断はできるでしょうが、若い息子もあることですから聞いておきなさい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
義理ごとはねぇ。
金持ちって結構ケチですよ。というか、外向きのものと内向きにのものを明確に分けています。よく言えば外面がいいということになるのでしょうが、人との付き合い、公式的なものについてはそれ相応の義務があると思っているようです。
一方、内向きについては例えば日常の食事については、普通のスーパーで普通の食材を買って、いかに安くするかが重要とばかりの食事です。
友人や仕事の相手が来た時だけ、その瞬間高いものは出てきますけどね。
というのは、このブログでも書いているように、金持ちというか資産家というのは、物を持っているだけでリスクなんですよ。新幹線が止まる駅の前にビルを持っていても、テナントが似なければただのごみどころか固定資産税と、管理コストで本当に首が回りません。かといって貧乏くさくしていると客が寄ってこない、こういう傾向があるのです。
だから必要なところではしっかり使い、普段は質素極まりないですよ。