映画の主人公のすずさん。
映画館で映画を観たのはいつぶりか忘れましたが、土曜の昼にこの映画を観てきました。
夜になり、ネットでこの作品について様々な方が語っている文章を読んで、また思い出して感動が蘇ってきて、改めて凄い作品だということを再認識しているところです。
戦争・広島・原爆、というファクターがある物語なので、(反戦を訴える映画・左翼的)とざっくり捉えてしまう人がいるかも知れませんが、そういう人こそ思想が凝り固まっている人だと思いますし、逆に戦争を賛美する人も同列だと思います。
だいたいそういう考え方をする人は、物語(原作は漫画ですね)というエンターテイメントをそんな風に観て楽しめるのかな?って思います。
変に思想を固めて観たところで、何が楽しいんだよっていう。
そうじゃなくて、先入観無しにこの作品を是非観に行って欲しいなと思います。他の一般の娯楽としての映画と同じように。
劇中、キャラクターが発する言葉に作者のメッセージが込められていると解釈する人もいるかも知れませんが、僕はそうは見ません。
寧ろ当時を生きる一般の人々が、その言葉を発するに至った背景を考えるようにしています。
出来るだけフラットな心で観て欲しいですね。
あらすじなどは世に沢山出回っているので此処には書きません。
すずさんという主人公の人生を、観る我々は追っていく形で物語は進んで行きます。
おっちょこちょいだけど極めて普通の、我々と同じ一人の人間が、戦中・終戦直後という数年の間を生きる物語。
超人的な人とか、現実から乖離している様な人物は出て来ません。普通の人々しか出て来ません。だから、物語の中にスッと入って行けるし、日常の中で起こる事、ささいな事が、凄くすんなりと理解出来る。
映画というエンターテイメントは、非日常を楽しむという側面がありますが、逆にそういうものに対して受け付けないという人もいると思います。
でもこの作品はそんな構えも要りません。
自分がこの作品を観ようと思ったきっかけはツイッターでした。
この作品を観た人の評判がほぼほぼ高評価だったので、観てみたいと思ったのがきっかけでした。
ネットでこの映画のホームページを探してみたら、絵の感じも良かったし、事務所の問題で色々あった能年玲奈さん(現在はのんさんですね)が声を充てているという事、他に観たい日本映画が無い中でこの映画だけ妙に気を引いたし、題材もチャラチャラしてなさそうで見応え有りそうだったし、様々な要因が合致したので観に行きました。
結果、大満足でした。
アニメ描写の素晴らしさ、観る側の想像力を使わせて貰える間口の広さがあって、それだけに行間が伝えてくるものが本当に豊かなんですよね。
物語は時系列で、原爆が落とされて終戦を迎える日まで進んで行きます。
日本中が貧しくなっていって、食事をする事すら大変になっていくのですが、そんな中にあっても、現在を生きる我々と同じ様に食事を楽しもうと、工夫して生きようとする人々の姿が描かれています。
この作品はアニメなんですけど、キャラクターの動きがとても細やかなのですが、ゆったりとしていて見やすくて、なんでも通常のアニメでは抜いているコマを入れているそうで、より人間の動きに近く見えるようですね。
作品としてのテンポは良いので、物語の前後がわかりやすいと思います。
観た後に自分の中に残ったもの。
それは、平穏な日常が送れる事の有り難みや愛おしさ、そしてそれはふとした事で無くなってしまうかも知れない訳ですが、それを無くさない様に精一杯生きる事が大切なんだろうなと。
1番悪いのは、自分の腹は充たされているのに、それを他人の命を奪ってまでやろうとする事。悪意ですね。
武力を使った戦争というものは正にそれですよね。
世には戦争という暴力を使って暴利を得ようとする勢力が蠢いていますから、そんな勢力とは闘わなければいけないです。
闘い方も、暴力ではなく、情報と知識が大事だと思います。
平穏な日常を求める事、それは間違ってはいないと思います。
それは人として真っ当な感情だと思います。
これは反戦とかそういう主義うんぬんではなくて、基本的な(心地よさを保とうとする意識)という意味です。
その感情を根底に持って、ではそういう戦争状態へ引き摺り込まれる事にならない為にどう闘い、いかにこの世界の片隅に生きていくか、それを追求していくのが大事なのかなと思います。

