昨日観てきました。

まだ焼け跡も片付かない戦後、昭和23年。

作家・塚口圭吾とその妻・やす代が暮らす東京近郊の家には、今日も原稿待ちの編集者たちが詰めかける。

最後の無頼派ともてはやされる流行作家だった圭吾は、その重圧から神経過敏となり、酒と薬物で心身のバランスを保っているようなものだった。

ことあるごとに二階から飛び降りるのも、薬物で高揚した精神のなせるわざ。

「原稿を走る筆の音が、まるで身を削る刃物の響きに聞こえて」

そんな圭吾に寄り添ってきたやす代にとある変化が訪れたことで、夫婦の時間が変わっていく。

混沌の時代を懸命に生きながら、どこか滑稽で愛おしい人々。

日本を代表する作家・坂口安吾とその妻・三千代をモデルに、一癖も二癖もある登場人物たちそれぞれの愛の形を描き出す、中島淳彦の代表作。

※以下、内容触れます。

坂口安吾は名前と「堕落論」っていうタイトルだけ知ってる状態。

舞台に「モデルがいる(ある)時はなるべく予習して行きたい」と思っている。

ということで図書館で本を借りてみたけども、先週のチョコ同様、読む時間がなくて💦

前半が太宰治、後半が坂口安吾だったので、とにかく安吾さんのところだけ読んで行こうと思ったけど、さらっとしか読んでない💦

でも読まなくても舞台はおもしろかったです。

それにしても、この本。

塚口圭吾さんは坂口安吾っていうのは分かってたけど。

豊臣治→太宰治、谷雄一→壇雄一だと思うので、なかなかの選本をしましたね。我ながら。

（読めてないけど）

まず、圭吾さんの家のセットが素敵。

書生の石原くんがかわいい(笑)。

二階から飛び降りた先生の鼻血を拭いてあげたのに「触んな！」ってハンカチ投げつけられて。

この時の音が実にいい音(笑)。

いきなりワーワーしてて楽しい。

みんなで水炊きしようとしたところに鶏持ってきた太郎さん。

太郎さんがほんとかわいくておもしろい(笑)。

お花(鶏)のこと話すの笑ってしまった。

先生も編集者さんたちも飲みに行っちゃって。

原稿を忘れた平井さんが戻ってくる。

その忘れた原稿っていうのが上村紗江子さん(モデルは矢田津世子だと思う)のことで。

先生の奥さん・やす代さんつらいよね、、

紗江子さんはもう亡くなってるとはいえ、恋人だった人のことを書かれてさ。

平井さんも行ってしまったあとに谷さんがやってきて、そのあとに豊臣さんがきて。

先生と豊臣さんを会わせないようにしたかったのに、そこに先生たちが帰ってきちゃう。

↑豊臣さんは太宰治がモデルってアフトでも言ってたけど、たぶん中原中也がちょっと混ざってる。？

一緒に連れてきた花江さんのことを豊臣さんが何も言わないから、花江さんが「私のこと紹介して頂けませんか！？」って言ったの笑ってしまった。

花江さんは上村紗江子さんの妹さんで、姉のことを書かないでほしいと頼みにきた。

ここだっけ、やす代さんと花江さんがケンカするところ。

めちゃめちゃかわいかった

間に入る男性陣のオロオロ具合も(笑)。

ワーワーしてる時に鶏がお花じゃなかったこと言いに来る太郎さんもおもしろかったし。

「お花を追いかけているうちに見間違えて妹の竹を捕まえてしまったみたいです。まだ卵を生めたのに…」ｗｗ

本物のお花を譲ってもらって庭で飼うことにしたのはいいけど、鳴き声が先生の執筆の邪魔にならないか心配なやす代さん。

先生が大量に飲もうとしたのを止めてぶちまけちゃった薬を編集者さんたちが拾って庭に捨てる。

「あ、鶏がアドルム食ってる」からの、太郎さんの「お花が挙動不審ですぅ！」がおもしろかったな

先生の容態を見に来た芝山先生も「正真正銘のアル中です」とか言っちゃうし。

専門聞かれて「戦時はなんでも診ましたけど、本来は小児科です」もおもしろかったし、それで「先生にぴったり」って笑っちゃう多喜子さんもおもしろかった。

お酒飲んだ多喜子さんが暴言吐くのも笑った。

『44さんが全然出てこないなぁ』と焦れた頃にやっと登場。

多喜子さんの旦那さんの五助さん。

床屋をやっていたけど戦争で徴兵されて、九州の方にいた時に長崎の原爆を見て…

終戦後3年間ずっとぼーっとしてる。

この答えは文学にあるかもしれないという五助さん。

↑これは先週観たチョコの『白き山』でも同じような場面があったので、「あ、宗吉さんと同じだ」って思いました。

明日から先生の髭を剃りにくるようにやす代さんが言う。

翌日、先生の髭剃りをする前に編集者さんたちで練習する五助さん。

横山さんが「嫌だなぁ」って言ったあとに「最初よりはいいでしょう」って振り向いた竹原さんの顔が傷だらけなのおもしろかった。

かわいそう

まぁ3年ブランクがあるもんね。

庭では太郎さんがお花に睡眠薬飲ませようとしてるし。

太郎さんがお花に睡眠薬を飲ませようとしている理由。

前の場面で、朝お花が鳴いて先生の邪魔をしないかやす代さんが心配したから。

この時のやす代さんが「バカね、鶏に睡眠薬だなんて…」って涙ぐむのがとてもよかった。

太郎さん、薬の量を芝山先生に聞いて。

「重さによります」「お花はバタバタしていて正確な重さが量れません」「眠らせて量ったらいいんじゃないですか？」「そっか！」

↑堂々巡りｗ

戦争の焼け野原を「きれいさっぱり」と言われて激高する五助さん。

「剃刀を持っているから！」って横山さんや石原くんに言われることで笑いになっちゃってるけど、ここも相反する気持ち。

やす代さんを診に行った芝山先生が「たぶんおめでた」って話して。

「まだ確かではないから先生にはまだ言わないでおこう」って言ったのに。

太郎さんがすぐ先生に知らせにいっちゃうのおもしろかった。

五助さんが先生の髭を剃るところ。

「子どもをどう思いますか？」と聞いて。

「爆弾で殺されてしまうかもしれないのに？」っていうセリフが重かった。

でもそのあとの五助さんの「でも命を繋いでいかないと」っていうセリフもよかった。

先生の「自分とそっくりな肉の塊が出てくるなんて」っていうセリフも。

ここでこっそり豊臣さんが入ってきたのおもしろかったな。

こっそり五助さんと代わって髭を剃る。

またワーワー

なんだか重いシーン→ワーワーが繰り返しきますね(笑)。

この子どものことでまたひと悶着。

先生は平井さんとの子どもじゃないかと疑い。

（前の場面でやす代さんと平井さんが二人で転んじゃうのを先生が見てた）

先生はやす代さんに堕してくれと言う。

結局先生は「好きにしなさい」って言うんだけど。

この一連の流れの時の多喜子さんがものすごくよかった。

多喜子さんは子どもがほしかったけどできなかったんだもんね。

あの必死さとなんともいえない表情。

先生が「好きにしなさい」って言った時のホッとした表情。

辛かったです。

そしてこの子ども問題の時のやす代さんがかわいい。

「二階から飛び降ります！」って言って、結局先生が飛び降りてきたり。

二階からやす代さんの方を抱いて降りてきて、多喜子さんが「奥様泣いてますよ！」って言うのも笑ってしまったし。

どうしても平井さんのことを疑ってる先生に、やす代さん「平井さんに作り変えます」って言ったり。

疑われてると知った平井さんが「身に覚えがないですぅ！！」って言うのも笑った。

そんなバタバタしてる時に、豊臣さんと花江さんが心中したというニュース。

やす代さん、太郎さんに車を見に行くよう言って、石原くんには睡眠薬をあるだけ買ってくるように言う。

「急ぎましょう。いちばんじゃないと目立たないから」っていうのもおもしろかったし、ここで豊臣さんと花江さんが来たのもおもしろかった。

「いやー、死に損ねました！」

これいちばん笑った。

花江さんだけずぶ濡れで、「試しに彼女に先に入水してもらったんだけど水が冷たくて。入水するなら夏だな。ハハハ」っていう豊臣さんは最低だけど(笑)

死のうと思った理由を聞かれて「書くことがなくなったからですよ」

そのあと舞台の下手側でお芝居は進行してるんだけど、真ん中のテーブルに座った先生と谷さんの表情がものすごくよかったです。

急に固まっちゃうというか、沈む感じ。

ふたりが二階にいる間に横山さんと竹原さんがやってくる。

ふたりの水死体が発見されたという知らせと、それに対するコメントをもらいに。

先生のコメントおもしろかった。

「このままだと本当に死んだことにされてしまう」って二階から豊臣さん降りてきて。

花江さんを守ろうと自分だけ出ていく豊臣さん。

やす代さんのセリフも素敵でした。

そんなこんながあっても、その内ほんとに入水自殺で亡くなっちゃうんだもんなぁ(太宰治は)…って思うと切なくなってしまったり。

花江さんが先生とケンカするところもよかったです。

「布団をかけてやっただけだ」「襲われそうになった」の言い合い。

これは『部屋のゴミが一寸の厚さにつもっても、女がそれを掃くよりは、ゴミの中に座っていて欲しいと私は思う』

『坂口安吾』のこの一文に塚口先生の気持ちがあるんじゃないかと思って。

やす代さんも最初ゴミだらけの部屋に連れて来られて、先生は執筆始めちゃうし、そのうち眠ってしまったって話してたし。

うまく言えないけど。

花江さんが「姉が死ぬ間際にあなたのことなんてひとつも想ってなかった」って言うのもよかった。

あの靴のところもよかったですね。

五助さんが書きかけの原稿持ってきて、これを太郎さんが読むところもよかったです。

ここ、照明が変わった気がする。

気付いたら西日が射してるみたいな照明になっていたような？

その後、やす代さんは無事に出産して。

嬉しそうなみんなもよかったけど、いちばん嬉しそうにしてる先生がかわいい(笑)。

久しぶりに二階から飛び降りる先生。

多喜子さん「先生がピクリとも動きません」

赤ちゃん抱いてやす代さんが泣く。

この終わり方切ない。

いやー、場面の記憶はしっちゃかめっちゃかだけど。

今回もおもしろかったです。

ゴツプロはメンバーのみんながワーワーしてるのが好きだから楽しかった。

今回はみんなの表情と動きがとてもよかったなぁと。

どこの場面だったか忘れちゃったけど、下手側にいる石原くんと太郎さんがあるタイミングでまったく同じ表情(しかめっ面というか、困った顔というか)になったのもよかったし。

石原くんが縛られて、それを救出する編集者さんたちの嫌そうなというか、めんどくさそうな顔(笑)。

五助さんに髭を剃ってもらってる時の先生の貧乏ゆすり。

太郎さんが一段ずつ両足付けて階段降りてくるのとか。

端っこですぐメモしようとしてる石原くんとか。

(石原くんは眼鏡をテープで補強してるところもかわいらしいです)

花江さんに部屋のゴミ(捨てた原稿用紙)を二階の窓から捨てられて、最初は「捨てるな！」って怒鳴ってたのに、やす代さんが入ってきた瞬間に窓閉めて「掃除を頼んだんだ」って言っちゃう先生とか(笑)。

女性陣にあれこれ言われて「ぐぬぬ…」ってなってる先生もよかった(笑)。

いちばん謎なのは太郎さんだよね。

平井さん、横山さん、竹原さんが話してた太郎さんのこと。

「先生の遠縁らしいけど、遠すぎて分からないらしい」とか徴兵逃れ？の話とか。

そして太郎さん自身の「逃げてばっかりいた」っていうセリフ。

最後は出ていっちゃう太郎さん。

太郎さん、私は全部嘘なんじゃないかと思った。

先生と遠縁だっていうことも、もしかしたら名前も。

いくらでも深読みできる人物像。

キャストさんはみんなよかったけど、今回は女優さん3人が特に良い！

やす代さんも花江さんも多喜子さんも、強くてかわいい。

特に多喜子さん役のかんのさんがとてもよかったです。

二階から先生に「うるさい！」って言われて言い返すのとかおもしろかった。

昨日はアフタートークも。

ゴツプロメンバーと浅野さん、鹿野さん、大石先輩…じゃなかった、土屋さん、演出の青山さん。

土屋さんの前回との違いの話もおもしろかったけど、鹿野さんがダメ出しされたときの態度の話おもしろかった(笑)。

そして浜谷さんが全然喋らない(笑)。

正和さんがタジタジになっちゃったのかわいかったです

本番前のパンパン祭り(？)、千秋楽までに参加してもらえるといいですね(笑)。

終演後、ちょっとお話しできてよかった。

また次観に行った時にサイン頂こう

便乗して集合写真撮らせてもらった

塚口圭吾

塚原大助

大橋太郎

浜谷康幸

平井

佐藤正和

竹原

泉知束

横山

渡邊聡

五助

４４北川

多喜子

かんのひとみ

塚口やす代

浅野令子

豊臣治

土屋佑壱

上村花江

鹿野真央

石原青年

前田隆成

芝山先生

剣持直明

谷雄一

久保酎吉

☆

無頼の女房。