夜中に目が覚め、なかなか眠れず、つい酒に手が伸びてしまう。そんな時、癒し系のテレビ番組を見たくなり、今は『運転席からの風景』という番組を気に入っている。NHKの地上波かBSにて午前2時ごろから放送されることが多いが、毎日というわけではない。昨年にスタートし、関東を中心にJRや私鉄各線の運転席からの映像を延々と流していく。

 2本の線路の上を走り、次々に変わる景色の中を突き進む爽快感は鉄道ファンならずともたまらない。運転席からというのがユニークな視点だ。停車すると駅構内や周辺の様子はさらりと映すが、下車して店舗に立ち寄ったりはしない。タレントを使った普通の旅番組との違いは明らかだ。静かなBGMが流れるだけで、音声によるナレーションは一切なく、短い説明文が出るだけ。

    変化のある風景を楽しめるのは関西の私鉄だ。京都から琵琶湖沿いを通って比叡山を登る京阪大津線や、神戸中心部と有馬温泉を結び、六甲山地を走る登山鉄道の神戸電鉄有馬線には、一度は乗ってみたくなる。

 平地がほとんどの関東の鉄道のほうは淡々とした場面が続くが、鉄道や駅の知られざる情報を紹介して飽きさせない。埼玉の見慣れた景色も運転席から見ると一味違っていて、たまらなく愛おしくなってくる。見ているといい気分になってしまい、深酒になりがちだが、深夜の楽しみには代えがたい。