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「ようこそ、我がベルベットルームへ。」
8年前によく聞いた、特徴的なこの声。
「おや、またお目にかかれましたな。」
長い鼻の、奇怪な顔をした老人。イゴールだ。
横には、2人の女性、1人の男性が座っていた。その内2人の女性は、見たことがある。
「お久しぶりでございます。マーガレットでございます。この部屋で無意味なことは起こらない…また、なにかが始まる予感が致します。」
8年前、よくお世話になったマーガレット。8年前とほとんど変わらない。変わった所といえば、衣服のデザイン位だった。
「この度の旅路、お客様の8年前の旅路よりも、様々な困難が待ち構えている予感が致します。エリザベスでございます。」
エリザベス。8年前のGW、衝撃的な出逢いをしたので、忘れようにも忘れられない人だ。
「その為、私ども3人がかりでお客様の旅路をお手伝い致します。私、テオドアと申します。以後お見知りおきを。」
若い男性が立ち上がり、一礼、そして着席。
「この人数でお客様をお迎えしますのはいつぶりでしょう…それほど、この度の旅路は困難を極めるやもしれませぬ。」
イゴールは顔の前で組んだ手を組み直しながら言う。
「これをお持ちなさい。」
なつかしいこの感覚。
でも、新しい感じがした。
「新しい契約者の鍵…でございます。」
マーガレットが座ったままこちらを見て微笑んだ。
「では、またお会いしましょう…」
イゴールがそう言うと、目の前が真っ白になった。
はっと気付くと、そこは商店街だった。
ポケットを探ると、“契約者の鍵”がそこにあった。
「……」
言葉を失った。
あの部屋に行ったということは…
「…また、始まるのか…」
次の日。
八高への初出勤の日。
居間へ行くと、菜々子がもう食事の準備をしていてくれた。
「おはよう。お兄ちゃん。」
菜々子も今年から高校生だ。
「まさかお兄ちゃんと一緒に八高通えるなんてね!」
「菜々子は入学式、明日だっけか。」
「うん!お兄ちゃんは今日からでしょ?頑張ってね!」
菜々子に見送られ、少し早めに家を出る。
この道を通るのも、すごく久しぶりだ。
この道を曲がると、8年前に見慣れた校舎が見えてくる。
「久々の風景だ」
深呼吸。
さぁ入るぞ、と意気込んだとき、背後から声がした。
「あの」
振り返ると、高校生くらいの前髪を伸ばした男の子がいた。
「君、どうしたんだ?生徒は明日から…」
彼は、俺をじっと見つめていた。
不思議な感覚だった。
でも、感じた。彼は、俺と似ている。
「…八高の生徒?」
彼は無言で俺を見つめるだけだった。
沈黙。
すると、彼が急に八高を指差した。
彼の指が指す方を向く。
そこにはただ、八高があるだけだった。
彼の方へ向き直ると、そこに彼はいなかった。
「不思議な子だったな…」
初出勤を終え、帰宅を始める。
「すっかり遅くなっちゃったな…」
思ったよりやることが多く、時刻は午後11時30分。
「しかし、夜の学校は怖いな」
自然と早足になる。
途中、朝の彼がいた。
商店街の方へ歩いていく。
「こんな夜遅くに…」
注意しようと、彼に近付く。午後11時58分。
「君、こんな夜遅くまで出歩いてちゃ…」
言いかけて、止まる。
彼の目を見ると、吸い込まれるような気がした。
「…はじまる」
ふと、彼が口を開いた。
59分58秒。
「はじまる…?何が…」
午前、0時。
辺りの明かりは消え、仕事帰りと思われる人影は棺と化した。
そして、この感覚は、テレビの中と似ていた。
「な、なんだ…!?」
俺が辺りをキョロキョロと見回していると、彼はクスクスと笑った。
「…かげじかんだ。」
彼はそう言って、歩き始めた。
「ま、待ってくれ!かげじかん?なんだよそれ…!」
「…」
彼は無言で、俺の背後を見た。
そこには、8年前テレビの中で戦った、シャドウがいた。
「シャドウ…!?」
俺は慌てて8年前使っていた、あのメガネを取り出した。
「君は俺から離れるな!」
俺が彼の腕をひっぱると、彼は薄ら笑いを浮かべながら足を止めた。
「…思い出せ…ペルソナ!!!」
to be continue
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へーい第2話でしたー
この先書いてたら会話ばっかで途中で切りました笑
先は3話で~
アデュー(^з^)-☆