「先生は、今の教え方で分かりますか?」

と、教室の後ろにいた私に、立ち上がった女の子4人が

こちらを向いて聞いてきた。


授業中である。

TTの形、ティームティーチングといい、教師2名以上がチームとなり

教える形態である。


担任の教諭が主になり、私は理解が遅い子などを補助する形。

彼女達は、この時、私に、この担任の先生の授業やり方で、分かるかと

問うていたのだ。


正直に答えたとしたら、答えは、

「No.」

分かりにくい授業であった。



授業が終わり、私は、気まずい思いであった。その担任はあまり気に

している様子もなかった。

プライドゆえか・・・本当に気にしていないのか・・・


大切な算数、彼女達なりの危機感をもって聞いてきたのだろう。


しかし、その後3月まで、ずっと分からない授業が続き、彼女達は

卒業していった。

4月当初

「あなたのクラスのあの子、悪魔のような女の子だよ」

前担任から言われた。

家庭訪問では、何人もの親にあの娘と同じクラスで

心配です。」と言われた。


色々なトラブルを起こし、陰で弱い子をいじめたり

「2年生でこうだから先が思いやられる。」とも言われて

いた。8歳にして、悪魔のようだと言われるとは・・・


母親は教育熱心な方だった。何年も毎週のように娘が

起こすトラブルの謝罪に追われてへとへとになっていた。


自分が担任することになったから大丈夫だと思っていたが

やはり毎日トラブルが起こった。その都度、話を聞き対応し

謝らせるという繰り返し・・・

彼女の起こすトラブルに巻き込まれるクラスの子ども達を

完璧には守ってあげられないことに、申し訳なさを感じた。


私自身も彼女に対して、なんとまあ、意地悪な女の子なん

だろうと思った。同時に、8歳にしてそんなに意地悪な子が

本当にいるだろうかとも思った。


進級から3か月、その子の様子をじっとみていると

服装のセンスが他の子と違っていることが分かった。五感の

感じ方も独特であるように思えた。


アスペルガーの可能性を感じ始め、他の先輩教諭に相談

したが、

「何言っているの唯の意地悪な根性の悪い子だよ。あの子は。」

という返答。真剣に相談したのに、逆にストレスになってしまった。

残念ながら、発達障害に関して知識のある教師は少ない。


どのように対応しようかと、迷っていたが9月になり途方に

くれた母親から電話が来た。トラブルの連続で心身ともに

「消耗しきっている」とのことであった。

そこで思い切って・・・・


つづく















「先生、何か手伝うことありますか。」

低学年を担任すると、毎日何回も子ども達がこう聞いてきた。

お手伝いしたくてしょうがないという様子であった。

実際、子どもにお願いできるお手伝いは、あまりないが、

「じゃあ、これ配って。」とか

「本の整頓してくれる。」とお願いするようにしていた。

給食当番もみんなやりたくてやりたくてしょうがない様子。

みんな好奇心がつよくなんでもやりたがった。


そんななか、別の小学校に勤める友人からこんな話を聞いた。

「最近、給食当番をやりたがらない子がいるの。」

「何年生?」

「1年生でだよ。」

「へえ。」

その友人は、叱るとき捲し立てるタイプ。ちょっと力が入り

過ぎている感もあるが一生懸命な先生である。


「私、頭にきてその1年生に、なんで給食当番やらないの。みんな

やってんのよ。クラスの仕事は分担してやらなくちゃ駄目じゃない。

みんなやってんだから、あなたもやらなくっちゃ駄目なのよ。

○×△◎□○×△◎□○×△◎□!!!!!!。

そしたら、その子、こっちを見上げて」


「おめえ元気だなあ」と一言いったの。


よくよく話を聞くと、両親の離婚で、引っ越してきてこの学校に

転勤してきたんだけど、毎日疲れているのだとのこと。


自分の転校を転勤っていってしまうなど、その子が通ってきた

修羅場と、友人であるその先生のの歩んできた真っ直ぐな人生

との対比。


「おめえ元気だなあ」を思い出すたびに笑ってしまう。