ストーリーのある家具 | グローバルに波乱万丈




やっとやり終えたキッチンのリノベーションの際、

(このことについては、改めて...)

タイル張りのついでに、キッチンとフロアーが繋がっているゲスト用のバスルームも、

あれこれ変えたんですが、


数年前、私達のベッドルームのバスルームのリノベーションの時のように、

普通の家具に穴を開け、パイプを通し、洗面台にしたかったんです。







メジャーをバックに入れ、数日、家具探しに街中を巡ったんですが、

お手ごろなお値段で、サイズが合い、私の考えに合うものが見つからず、

あきらめムードで、帰り道、寄付された物を売っている教会関係のお店に寄ると、


サイズが合う家具が、79ドル (8000円くらい) で売っていて、

すぐにお金を払い、大喜びで車に乗せて帰りました。



うちで落ち着いてゆっくり見てみると、かなり上質な木で丁寧に作られたもので、

引き出しをブロックし、鍵がかかる仕組みになるという珍しい仕組みになっているんです。









調べてみると、高級な老舗の家具メーカーで、1950年代に作られたということでした。


せっかく見つけたんだけど、洗面台にしてしまうには申し訳ないなぁ... と、

どうしようかと迷っていると、

引き出しから落ちて、奥に引っ掛っていた、

街のスペイン調な古い大家が並ぶ地区にある、ドラック・ストアーやスーパーのレシートと共に、

“私の約束” というタイトルの手書きの誕生日カードが出てきたんです。



I will always seek shelter in your loving arms
and hear your whispers of "I love you" in my ears.

いつだって貴女の愛情に溢れる腕の中に逃れていき、
貴女の“アイ・ラブ・ユー”という囁きを耳にするわ。


I will laugh out loud with you at something between only us,
and when those doubts accrue, I will wipe away your tears.

私達だけの内緒に一緒に大声で笑い、
不安が積もれば、貴女の涙をふき取るわ。

...

But most of all, I will love you, dance with you, sing with you,
for that is when I am at my calmest.

でも、何よりも、貴女を愛し、貴女と踊り、貴女と歌うわ。 
それが私にとって一番気持ちが落ち着く時だから。


So today happy birthday to you.
You will always be my friend and this I promise.

今日、誕生日おめでとう。
貴女はいつだって私の友達。 それを約束するわ。



薬のレシートや他のカードの内容からして、家具の持ち主は病気だったようで、

この誕生日カードの約束の中にも、

“貴女をしっかり見守るわ。 これからもその先もずっと。”

と、死後を意味するようなことが書かれていました。


きっと、亡くなり、子供か孫が持ち物を処分し、その家具は寄付され、売りに出ていたのでしょう。



時々ドラッグ・ストアーにマースのキャンディー・バーを買いに行く

スペイン調の古いお屋敷に住む、愛情に満ちた老婦人のイメージが頭に出来上がってしまい、

ますます家具に穴を開けるなど出来なくなり、

そのまま、リビングルームに置くことになりました。



「あれ? この家具、前からあった?」 誰かに聞かれると、

「実はね。 ストーリーがあるのよー。」 

誕生日カードを出してきて、話をするんです。






周りの家具や小物とも馴染み、新しい場所で安心そうに見えます。

穴を開けられにすんだことも、きっとほっとしているのでしょうね。


しかし、老婦人の亡霊付きじゃなくてよかった...  (汗)