独資化のリスク③ | 中小企業診断士グループ“YTD”のブログ

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平成23年度中小企業診断士試験合格者4名で立ち上げた診断士グループ“YTD"のブログ。YTDとは、「やったるでー」の略。クライアントの「あなたらしさ」を大切した支援を致します。

しんしんです

ブログの更新が遅れて申し訳ありません。

中小企業診断士としての活動を始めてからありがたいことに様々なお仕事や企画に参加させていただくことになり多忙な日々を過ごしております。

前回のブログで「労働争議が起きた時にはその背後に政府の意図が必ずあると考える方が自然です。」とお話しましたが、地元政府が積極的に外資と敵対姿勢を取ることは有り得ません。外資系企業は雇用や税金をもたらすものと言う考え方があります。その点、外資をハゲタカ呼ばわりして追い出してしまった日本人よりも資本主義に対する順応性は中国人のほうが高いかもしれません。

地元政府が労働争議を政治的に利用とする場合には、「不満の捌け口」の場として外資系企業をターゲットにします。よって従業員の不安や不満と向き合い誠実に接していれば、従業員側もむやみに労働争議に突入することはありません。その点では、日本人であろうと中国人であろうと同じことです。

ただし、日本人労働者と中国人労働者の違いは抑えておく必要があります。それは、会社と何かもめることがある時、日本では企業内労働組合が介在しますが、中国には日本人がイメージするような労働組合はありません。
「工会」という組織が労働組合のような機能を担っています。ただし、企業別の組織ではなく中国共産党の傘下にあります。

日本では労働組合の幹部と管理職は厳密に区別されますが、中国では労働組合の幹部が経営幹部に近い立場でいることが往々にしてあります。日本では考えられませんが人事課長が組合の委員長ということもあります。

また、中国人は非常に面子を重んじます。そのため、リーダー格の人物にはそれに相応しい待遇をしなければなりません。一度、そのような人物を味方につけることができれば、小さな不満は組合の方で潰してくれますし、事が大きくなりそうなときは仲介役になってくれます。
ただし、逆にリーダー格の面子を潰すようなことがあれば労働争議が起きた時に収集に苦労することになります。

中国においても景気は減速傾向にあり、大学生の就職難が日本でも報じられておりますが、最低賃金は上昇傾向にありブルーカラーの職場では人手不足が続いています。また、サービス業が地方でも発達しつつあり、第2次産業から第3次産業へ若年層を中心に労働力が移動し始めてもいます。

従来は、工場間で労働者がグルグル回るような状況だったので、最低賃金の推移と他の工場の待遇を比較して自工場の賃金を決定するというやり方が通用しましたが、今では異業種間の人材獲得競争に様変わりしています。

そこで、様々な企業で単なる賃上げだけではなく、日本語教室やビジネス塾を社内で開くなどにして労働者が求めるより高次の欲求に応える仕組みが出来上がりつつあります。

「中国人」と一くくりにして労務管理をする時代は終わりました、一人ひとりの労働者のニーズに応じた賃金体系やキャリアアップの支援を行う必要が出てきました。確かにコストは掛かりますし、それを避けるためベトナムや他の地域に工場を移すことを検討する企業も出てきました。しかし、生産基地としての中国はインフラ面で他の途上国よりも先行しています。人に対する投資も、生産性を高めるために必要な投資だと割り切る時代がすでに来ています。

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