コロナに掛かって何もかも変わった。
中にはいい事もあったが、大半が望まない結果になってる。
まずは後遺症だ。
俺の場合持病も有るから重症化しやすい傾向にあったのは覚悟していたが、コロナその物は思った程重症化せずに済んだんだけど、その頃から味覚と嗅覚を失った。
最初は本当に何も感じなかったけど、処方された薬で多少戻りつつあったのは確か。
それでも約2ヶ月味も匂いも分からないまま暮らしてた。
正直感じない事に慣れてる自分も居た。
元々食べる事が苦手な俺は味がしなくてもただ生きるために必要な栄養を摂るって思いで食べる事に抵抗が無かった。
味なんてあっても無くても正直同じだ。
それが、3回目のワクチンを打った所で一気に状況が変わった。
打った翌日は予想通りダウン。
まあまあこれはいつもの事。
2日目から仕事復帰してある事に気付いた。
今まで感じなかった出汁を取る匂いが急に分かった。
これは嗅覚が戻ったって最初は喜んだ。
この調子なら味覚も直ぐに治るんじゃないかって勝手に期待もした。
期待をしたのが馬鹿だったのかも知れない。
俺の身体がそう思う通りに進んでくれるはずが無い。
その事を忘れてたのかも知れない。
ワクチンから3日目の朝、急激な異臭で目が覚めた。
何もかもが臭い。
臭いのレベルじゃない、息をすれば吐くレベルの異臭。
嗅覚がイカれて何かとんでもない物を腐らせたのかと冷蔵庫に近付いても匂いが強すぎてドアを開けられなかった。
そこでようやく気付いた。
症状が反転した。
無くなった嗅覚が今度は過敏に反応する様になった。
もちろんその日は何も食べられないし、タバコなんて以ての外だった。
タバコが吸えない=休憩が無いってのがうちの店の暗黙のルールの様にあって、飲食店の異臭まみれの中11時間休憩無しで働いたら、次の日何かが壊れた。
朝から吐き気がしてトイレに行ったら鼻血が吹き出した。
最初は力んで鼻の奥が切れたかと思ったけどそうじゃないらしい。
一向に止まる気配がない。
結局1時間半位止まらない鼻血をトイレに垂れ流しながら色んな事を考えた。
くだらない事からこの先どうするか等色々と。
どうにか止まったは良いけどその後はもう失血性の貧血を起こして動けない。
結果その日から仕事を休む事になった。
かれこれ1週間になる。
たまたま会社都合の連休があったとは言ってもそれなりに休んだ事になる。
今朝起きて過敏になってから処方された薬を飲んだらやっぱり相性が悪いらしく全身の感覚その物が奪われる。
とてもまともに動ける状態じゃない。
前々からオーナーにはお前は飲食業に向いてないから新しい仕事を探せと言われていたけどこんな形で離れる事になるのか?
朝一オーナーに連絡すると無期限の出勤停止を言い渡された。
無期限?
それはもう解雇と何が違うのか分からない。
事前の解雇通知をしないと急な解雇は出来ないから解雇ではなく休暇として職場を離れろって事だろうか。
休暇の間に辞職を申し出るのを待っているのだろうか。
どの道俺はもう、あの店には帰れない事は決定したらしい。
今までは少しずつ周りが音もなく崩れていた気がしてたがここに来て轟音と共に足元さえ崩れて行った。
これからどうなるのだろう。
とりあえず今出来る事を探さないとこの先生活が出来なくなる。
遂にこの日が来たんだと思う。
守る者が出来た今沈んでる事も出来ないから早くはい上がらなくては。