我が家に迎えた頃、声を掛けると身を固くするばかりの彼等…。

近頃は、サ行の発音もおぼつかないながら私に何かを懸命に訴え続けていました。

私の応えに全く、納得していない様子でした。

外国の方と接する機会が少なくない私は、実は日本語すら満足に使えないのだと彼等によって知りました。

仕事で少し険悪な雰囲気が漂った場合、私の場合は握手が突破口です。

片手をとらえたらすかさず両手です。

顔を背けられても構わずハグです。

仕事なので綺麗事では済まされないのは当然で、決別に終わる事もままあります。

…来る日も来る日も彼等に追い詰められ続けた私は、不覚にも泣き出してしまいました。

その姿に怯んだ彼等をすかさず抱き寄せました。

なし崩しです。

筋も道理もありません。

…何故か上手くいったようで味をしめました。

…先日、どう見ても妻の字で書かれた彼等の署名入り価格表を渡されました。

値付けは公正取引委員会もビックリの暴利です。

ハグが1番の高価格です。

しっとりクーヘンを満面の笑みで貪る彼等を見て、

訴えを取り下げました。

…この胸の奥から湧き上がるものはなんでしょう…

…彼等は得したと大喜びです。

…何故、私の方が得した気分になるのでしょうか…