今までの「 Young Opera Singers of Tomorrow」 という名称を改めたとのことでした。

意味としては、「約束された人々」(何故か英語からフランス語?イタリア語?になったのですね) ということで、今までの名称よりも一歩踏み込んだ名前にしたのだなあという思いが伝わってまいりました。

 

新国立劇場のオペラ研修所で、研修に励み、このコロナ禍の中でも、歌手として歌唱表現を研くために歌曲のレッスンにも取り組み、全員で学び合う時間を持ったりして勉強したとのこと。

世の中へ歌手としてデビューする為に日々励んでいらっしゃる「約束された人々」のエネルギー溢れる歌唱を楽しんでいただきたいとオペラ研修所長の 永井和子さんがプログラムの最初に書いていらっしゃいました。

 

今回はオペラのアリアをお一人一曲ずつお歌いになりました。

 

今までにこのコンサートも何回か聴かせていただきました。

年毎に決められているのでしょうか、さまざまな国の歌曲から歌われた時もありました。

 

こちらの若い方のコンサートに伺うようになったのは、こちらに、大先生の教え子の方がいらっしゃって、そのレッスンや、ジョイントコンサートなどをお聴きしていたので、「どういう過程を通ってプロへの道を歩まれるのかな」という興味があったのです。

少しずつ、歌手として大成されるのを心の中で楽しみにしていたので、コンサートや、オペラなどを出来るだけ聴こうと思っていました。

 

そんなきっかけから、聴かせていただくようになりましたが、その方だけでなく同期生の方の演奏もお聴きしますので、この方は前回より上手になられたとか、「この演奏は立派にプロとして通用するなあ」とか感じる機会が多々ありました。

 

そんな過去の演奏の中で、今でも覚えている光景があります。

 

エヴァ・デラックァの〈ヴィラネル〉 という歌を歌われた方が、もちろん歌が素敵だったのですが、白っぽい、オーガンジーの柔らかな生地のドレスで、その歌と、その方とが醸し出す雰囲気があまりにも美しかったので、ちょっとため息が出たのです。(薄いクリーム色だったかな?)

 

先日、同じ歌をやはりお若い方が歌った演奏を別なコンサートで聴いたのですが、印象が全く違っておりました。

良いお声をお持ちの方で、声もよく伸び美しかったのですが、あまりにも元気が良すぎるといいますか、この曲にあっていないと感じたのです。

 

印象に残っている方は、決して声を鳴らすということはなさらなかった演奏でした.

白いふわっとした肩にかかった長いショールのようなドレスの布地が舞台袖に消えていく光景が、あの中ホールに行くと思い出されるのです。

 

その研修生の何人かが本公演にでていらっしゃったりすると、大きく花開いてほしいなと思ったりしています。

 

サントリーのアカデミーの方にもちょっと以前に知っている方が参加されていて、そちらのコンサートも聴きに行くようになりました。

 

声楽のコンクールにも、本選だけでなく聴きに行くことができる時には聴きに行くようになりました。そうした中からオペラのステージへ羽ばたく方がいらっしゃるととても嬉しい気持ちになると同時に、心配になる時もあります。一度滑り出してしまうと、勉強と仕事量の関係が均衡を保てなくなってしまって、声に負担をかけ、故障へと追い込まれてしまう方もあるように思うのです。

大事な時に大事にせねばならないことってあるのですよね。

そう言った時に大事な助言をして大事に育ててくださる方の存在は欠かせないと思うのです。

 

今回のコンサートで、印象に残ったのは《ラクメ》から〈若いインドの娘よどこへ行く〉を歌われた方でしょうか。

 

今回の座席がステージの上手寄りでしたので、ステージ横から出て来られる前の姿が見えるのです。

明るい水色に、金のふちかざり、身頃も金でその色の取り合わせが、インドのサリーのように感じました。形としてはドレスなのですが、ひだの縁飾りがスカート部分の半分にしか付いていないのです。それがインドっぽいのです。

まず色の取り合わせ、デザインにこの歌にかける意気込みのようなものを感じておりました。

プログラムをいちいち見ないように、大体の曲順と、オペラの内容のようなものを頭に入れておきます。

しっかりと覚えていなくても、この彼女のドレスをみて、「ああラクメだなあ」と思ったのです。

この歌も、 大先生の教え子で今はヨーロッパにいらっしゃる方が歌われるのを聴いて、「美しいなあ……」と思ったことがあるのです。

その時のことを思い出しました。

 

今回の方の歌い方とは少し違いますが、高音の美しさは、印象に残りました。

素敵でした。

 

その歌とともにインド風な配色のこのドレスのことも将来思い出すだろうなとまたまた思ったのでした。