今年最後のイタリア語のディクションの日でした。いつもより早めに先生のお宅に着きました。今後のディクションの進め方として、歌の歌詞ばかりでなくイタリア語の流れを感じるために、優しいイタリア語の本を読み合わせるのはどうかとのお話が出てきました。例えば「ピノッキオ」なんかどう?とのことでした。
よくリートのレッスンの時に注意されていますが、「メロディーにドイツ語をのせただけではそれはリートとは言わないのよ」との言葉が蘇ってきました。この場合はイタリア語ですが、ただ何と無くイタリア語を歌っていては「メロディーにイタリア語をのせて流しているだけ」になってしまうのです。やはりイタリア語ならよりイタリア語であって欲しいです。生きているイタリア語と言いますか、そんなニュアンスがほしいなと常々感じていました。「イタリア語の調べのような流れを本を読みながら体験するというのも良いな」と思いました。先生はそれを念頭においていらっしゃるのか、一月は今持っている課題曲6曲のうち1曲を自分で選んで仕上げていらっしゃいとのこと、その後二月から新しい展開があるかもしれません。
 レッスンが終わった後にコーヒーブレイクになりました。いろいろお話が弾んだのですが、  先生はかなり若い時期にイタリアに勉強にいかれてその後長い間イタリアにお住まいになっていらっしゃいました。パルマにお住まいだったのです。ヴェルディの話になった時に同じイタリアでも、ローマでヴェルディを聴くと違和感があったとのお話が出ました。パルマはイタリアの中でもヴェルディの生まれ故郷に近く、ヴェルディを歌う時にはこうやって歌うという紙の上には表現できない日本でいえば「コブシ」のような表現があるそうです。同じイタリアでもローマで歌っているヴェルディを聴いて違和感を感じたとのことなのですが、自分はローマでレッスンを受けたことがないからどういう風に教えているかわからないけど、と前置きをなさってそうおっしゃっていました。ヴェルディの故郷ブッセートに近いあたりにずっと引き継がれてきたニュアンスのようなものだそうです。
パルマのお話が出たついでに「パルマのすみれ」という名の香水のことをお尋ねしました。椿姫の名前がなぜ原作のマルグリット・ゴーチェではなくてヴィオレッタなのかという話の時に、パルマの女公がスミレが好きであったということが関係したのではないかという説をある方からうかがいました。「パルマのスミレ」という香水があるらしいとのことも合わせてうかがったので、それをご存知かきいてみました。そうするとそのスミレの匂いの石鹸がすぐに出てきました、匂いを嗅いで何に例えたら良いかと考えておりましたら、先生がその石鹸をくださいました。………で実は今その可憐なスミレの匂いを味わいながらこれを書いているのです。あまり強い匂いではありません。パンジーではなく野原に咲く紫の小さなスミレをさしているようで、石鹸にスミレの絵が型押しされていました。「フランス人がこの匂いを好むのよ」とおっしゃっていましたが。