時々、すごーくぼんやり何も考えないで映画などを見たくなる時がありました。
以前、仕事がとても立て込んできて忙しく気持ちが荒んでくると車でバーンと夜の最終回に行って、命の洗濯をしていたように思います。駐車場がついていて便利な映画館に行っていました。そんな映画館が閉館になったりで、3つほど変わりました。METのLVもその3館めに結構いっていましたが、ある日突然閉館のお知らせが出てあっという間になくなってしまいました。その後、仕事が非常勤に変わってから最終回の時間に滑り込んで見るということもなくなったので、METのオペラの映画も電車に乗って見に行くようになりました。
最終回を見て出てくると結構夜中になってしまっていたのですが、車で一気に帰ってきて、次の日への活力にしていたようなところがありました。随分気持ちを救ってもらったように思います。我ながらその時の心境を思い出すと良くやっていたなと思います。(そういえば近頃はあまり普通の映画を見ていません)
その頃を思い出すと結構沢山映画を見ていたと思います。封切りされるものの中から見たいなと思うものをピックアップしておいて、上映時間を調べておいて、今からならこれが見られると思うものにさっと出かけるのです。時々は見たいと思うものでなくても、「えへらえへら」と笑っていられるものを求めて行ったようなこともありました。

一番気持が荒んで多忙を極めた時、映画館へ出かける元気もなかった時は、DVDに凝りました。古今の名作やら封切りで見たもので、もう一度見たかったものなどこれも結構気分が鬱屈している時にはよく効きました。
その時によく見たものは「トワイライト」という、何とも奇妙ではあるのですが、吸血鬼である彼氏と人間である彼女の恋物語なのですが、これが一風変わっていてその頃何度見ても飽きなかったのです。おまけにその彼女を愛している恋敵が狼男という設定です。吸血鬼は何百年も生き続けることができるので、イタリアには吸血鬼の総本山みたいなところがありそこの古式ゆかしい吸血鬼たちが出てきたり、結構話の筋も込み入っていて、新しい吸血鬼の一団と戦ったり、究極の恋愛映画の様相を呈していたりでそれを見ている間は嫌なことを忘れていられたという映画でした。
ある時、勤め先の理不尽なことで傷ついた同僚の方(女性だったのですが)と何も言わず、タランティーノの映画を見に行きました。キル・ビルだったように思うのですが、題名も、内容も定かではありません。ただ何と無くスッキリとしたかったのです。話を聞くとか話をするとかの段階でなく、ただそばにいてあげなければと思ったのです。その時の映画はまわりくどくなくて単純でスカッとしたかったのです。他に適当なものがなかったのでしょう。そのタランティーノ監督があと2作品で引退するとのコメントを発表したそうです。久しぶりにあのキル・ビルの黄色いライダースーツを思い出したのです。