The Elephant Man

 

1980年 アメリカ・イギリス映画

 

【監督】デビッド・リンチ

【出演】アンソニー・ホプキンス

     ジョン・ハート

     アン・バンクロフト

     ジョン・ギールグッド

 

【ストーリー】

 見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。

(映画.comより)

 

【コメント】 (ネタバレあり!)

 本国公開40周年記念に4K修復版として公開されました。40年も前?と驚いてしまうのですが、当時気になりながらも観ていませんでした。テーマ的にも重そうで、今までなかなか観れなかったのですが、今回やっと映画館で観ることができました。

 

 まずエレファント・マンは19世紀末ののロンドンに実在した奇形のジョン・メリックの悲劇の人生を描いているということに驚きでした。奇形であるが故に見世物として動物のように扱われます。ちょっと「グレイテスト・ショーマン」を思い浮かべました。でも、もっとひどい。見世物小屋から病院へ研究材料として連れて行かれた彼はやはり見世物のように興味の対象として扱われます。彼の知能は低くないと分かっても、今度は上流階級の人たちが自分の名声のため?彼を利用するかのように彼とお茶をしたり、本当に表面的につきあいます。もっとひどいのは彼を金目とみて客をとる悪い輩。本当に人間ってひどいなあと悲しくなりました。メリックは外見があまりにも特異だけど、善良な青年です。彼を守り抜けなかったトリーヴスにも腹立たしくなりました。でも、大女優のケンドリック夫人が唯一彼と真心で接してくれたのが本当に良かったです。彼も幸せな時を過ごした後、自分の最後を決めました。とても悲しいけど安らかな彼の表情に、よかったねと心の中で声をかけました。

 

 エレファント・マンのあまりにグロテスクな外見は顔だけじゃなく、体もそれは実際に見たら、目を背けるかもしれません。ほとんど原型をとどめていないのにジョン・ハートすごい演技です。若かりし頃のジョン・ハートはあまり知らないから、最近ではハリポタシリーズのオリバンダー老人でしょうか。もう故人ですが、この演技は見ておくべきかと。

 それから外科医のアンソニー・ホプキンスが若いっ!私の中では彼は「羊たちの沈黙」のハンニバル教授なのですが。彼も当然ながら素晴らしい演技です。

 そして個人的に感動したのは大女優役のアン・バンクロフト。彼女を映画で観たのはこれが初めて。映画そのまま大女優としてのアン・バンクロフトの名前しか知らなかったので、ああっ、動いてる!しゃべってる!と感動してしまいました。まるで天使のような存在の役どころ。本当に素敵でした。

 

 この映画は白黒映画なんですが、それが余計切なさを増幅させてるような感じがしました。

たぶんカラーだとリアルすぎるから寓話のようにしてるのかなあ。とにかくさすがの名作です。