THE SECRET SCRIPTURE
2016年 アイルランド映画
【監督】ジム・シェリダン
【出演】ルーニー・マーラ
ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ジャック・レイナー
テオ・ジェームズ
エリック・バナ
エイダン・ターナー
【ストーリー】
アイルランド西部。精神科医のスティーヴン・グリーン（エリック・バナ）は、取り壊されることになった聖マラキ病
院の患者たちが転院するのに伴い、彼らの再診を行う。そこで自分が生んだ赤ん坊を殺したとして、約40年収容
されているローズ・F・クリア（ヴァネッサ・レッドグレーヴ）を診ることになる。自身の姓はマクナルティだと訴え、殺
害を否認し続ける彼女にほかの精神障害とは異質のものを感じたグリーンは、彼女が聖書の中に日記を書いて
いたことを知り……。(シネマトゥデイより)
【コメント】
わわわー、もう１ヶ月以上前観た映画だなんて！
これ、知ってる人少ないんではないでしょうか。とっても心に沁みる作品でした。
アイルランドが舞台。精神病患者として40年間収容されているローズの衝撃の事実が彼女が聖書に書き留めた
日記によって明かされていきます。
1940年代第二次世界大戦下のアイルランドの田舎町。そこに戦争のため避難してきた若かりしローズは若い
男性たちの目を引きます。でも厳格なカトリックの教えのもと、保守的な考えの町の人たちは叔母を含め、そんな
ローズを暇しく思います。ある出来事をきっかけに叔母に家を追い出され、山奥のコテージに隔離された彼女は
近くで墜落した英軍の航空機を操縦していたマイケルを助け、彼と愛し合うようになり・・・そこから悲劇が始まる
のです。
彼女を愛した男性のひとり町の権力者であるゴーント神父。彼は彼女を愛したがためにとある行動に出るので
すが・・・いやー、これ事実だったらほんと大問題です。
それにしても全然精神疾患でないローズを無理やり精神病患者として注射打ったり、縛り上げたり、あまりにも
恐ろしい病院でのもろもろ。ただただ彼女がかわいそうでなりませんでした。自分は赤ちゃんを殺してないと必死
て訴える彼女のことを信じる人がひとりもいないなんて。
やっと40年ぶりに明かされる真実は本当に感動的でした。
この物語が成立するのはやはりアイルランドだからでしょう。カトリック教会の影響力が想像を絶するようです。
未婚の母は収容されたりしたそうですから。
でもアイルランドって多々映画の舞台となってますが、やっぱり情緒的というか素朴でいいんですよね～。
撮影の仕方がうまいのかどの映画でもそう思えるのはやはりもとの景色がもつ美しさなんでしょう。
で、年老いたローズは名女優ヴァネッサ・レッドグレープ。もう座ってるだけでもすごい存在感。さすがでござい
ます。
そして若きローズはルーニー・マーラ。彼女の透き通るような肌とか目とか吸い込まれます。とても「ドラゴン・タ
トゥーの女」の彼女とは思えないわー。どんどん魅力的な女優さんになっていってますよね。ここではひとりの男
性を愛した芯の強い女性を演じてました。
それから老ローズの日記を見つける精神科医スティーヴンはエリック・バナ。彼はいい人感がにじみ出ててな
んだか安心感があるんですが、なぜかな。目が優しげだからかしら。ここでもとってもいい人でした。
それからそれからなんといってもこの人、ゴーント神父役のテオ・ジェームズ。ダイバージェント以来だったから
嬉しかった！神父ってのはちょっと意外な役どころだったけど、おまけにローズを愛してしまう彼なりに苦悩する
神父なのですよ。ああ悩ましいわ。彼の顔大好きです(爆)カッコ良い！いい人なのか悪い人なのか、神父がゆえ
に悩んだ末の結論ってことでしょうかね。
観てない方はなんのこっちゃかもしれませんが、原作はアイルランドの人気作家セバスチャン・バリーが英国の
文学賞を受賞したという同名小説ということなので機会あればぜひ読んでみてください。そしてもちろん映画も観
てみてくださいませ～。
いかにもヨーロッパ的な映画。私好みです。