舞台『散歩する侵略者』を観た。
2005年の初演を観ているが、本当に色褪せない。
むしろ、時代がどんどん追いついていることに、ただただ驚きを隠せない。
この物語は「概念」についての話だ。
ニューラルネットワーク的に言えば、人の脳は、知覚し、認知する。
その過程で、愚直なセンサーの反応から、高次なものの捉え方をする。
記憶や情動とも結びつきながらだ。
「概念」とはその過程で獲得する「共通項」みたいなものではないだろうか。
より普遍的で、より抽象的な「共通項」を獲得することで、モノゴトに対しての認知が早く効率的になり、より生存確率が高くなるというのが、生物進化の過程で獲得した仕組みなのだろう。
概念化することで、人は不確実性を減らし、世の中に”安心”しようとしてきた。
概念とはモノの見方そのものとも言え、経験的な「結果」でもあり「前提」でもあるのだろう。
その概念を失った時に人はどうなるのか?
『散歩する侵略者』は、壮大な思考実験でもありつつ、自分に問いかけてくる作品だ。
そして、「概念」を語る時には欠かせない「身体性」をベースにした舞台作品であること、そして何よりも「愛」の話であることが素晴らしい。
□イキウメ オフィシャルWeb