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ニット爺さんのブログ

カウチンセーターを趣味で制作しております。



  子供の頃の思い出は、殆んどが春か夏の思い出で、春になるとさいじ、こちらでいうといたどりを取りに行きました。戦後の貧しい時なので、おやつなどなく、友達2,3人と待ち合わせていくのが、春の一つの遊びでした。しかしそのさいじは、ちかくの山よりも、精錬所の敷地内に生えていて、家から300メートルくらい離れたところにあるトンネルを通っていかねばなりません。そのトンネルは、真っ暗で50メートルくらいあったでしょうか。じめじめとして水滴が常にぽたぽたと落ちる、ほんとうに薄気味の悪いトンネルでした。びくびくしながらそこをやっとぬけると、守衛所があり、守衛さんにさいじを採らせてくださいとお願いします。優しいおじさんだと、いいよと言ってくれるのですが、怖いおじさんだと、だめといわれ、ことわられます。優しいおじさんだとあとで、他の友達に、今日は優しいおじさんだったよと、得意げに情報をつたえます。トンネルを抜けるとそこは、雪国だったではなく、入口の緑豊かな美しい海のみえる世界とは別世界の、これは日本だろうか、と錯覚するほど荒涼とした景色が広がっています。ところどに鉱石の山が積み上げられ、荒れ果てたトタン屋根の建物が今にも崩れそうにたっています。山は禿山で、樹木は一本もなく、その肌は雨で浸食されて、まるで小さなグランドキャニオンのような美しさをつくっていました。いいかげんさいじをとり、守衛さんにお礼を言い、また怖いトンネルを走って帰ります。いまでもさいじのあじを、この景色と共に思い出します。ちなみに、この山の上には、日本一高いレンガの煙突が立っています。今村正平監督の映画、カンゾウ先生の最初の映像にでてきます。


この絵はダビンチの岩窟の聖母です。ロンドンへ行ったとき、ナショナルギャラリーでもとめたものです。厳重に美術館の中にガラスばりの中にかざられていました。こんなに有名なモナリザにつぐ絵の前で、自分ひとりであることに感激しました。ダビンチの絵はモナリザが代表するように、神に近い神々しいそのままざしです。これほど知性と品位と美しさを表現できるのは、ダビンチとピカソだけでしょう。