母は気が動転してしまい

普段の判断力が

軌道圏外に追いやられた

 

「仕方ないね。救急車を呼びなさい。」

 

祖母は

とても冷静に言ってはいたが

竹の子を挟んだ箸を持ったままである

 

「救急車ですか?

ご近所様に知れたら、どうしましょう。」

 

「世間体なんて、関係ありません。

アタシが電話をかけますから。」

黒電話に向かう祖母