しばらくして、おとうとが、

突然うなり声を上げていた

 

「うーうーうー。」

 

もう言葉にならない位に呻いているから

母はおとうとを抱き上げて

喉を大きく開いたけれども

何も見えず

 

「おかあさん、大変。

喉の奥に鯛の骨が刺さったみたい。」

 

おとうとの背中をバンバン叩いたが

そのうめき声はもっと大きくなって

 

「どうしましょう。

今日は松宮診療所もお休みだし、どうしましょう。」