「あっ、お兄ちゃんね、

なぜ今、漱石先生といったかっていうと、

根岸の杉宮先生ってお医者様知ってるでしょ?」

 

「名前は聞いた事あるけれど、

僕は逢った事はないな。」

 

「先生がね、漱石にそっくりで、

私はその事を先生に言ったら、

ちょっと照れくさかったみたいだけれど、

嬉しそうで、

漱石先生って

私だけは呼んでいいって

許してくださったの。」

 

「へー、面白い先生だね。」

 

「そうなのよ。

いつも患者さんがいっぱいでね。

それはね、病は気からだからって、

みんなの悩み事を聞いているから、

時々太った看護婦さんに、

先生って注意されちゃうの。

治療室から出てくる患者さんは、

みんな顔がだらんとなっていてね。」

 

「だらんて、どういう事?」

 

「そうねー、

それまで着ていた鎧や兜を

先生が丁寧に脱がしてあげて、

その人本来の姿にしてあげてるような、

そんな感じ。」

 

「きっと、その医者は、

心を見抜く洞察力と、

患者を愛する心があるからなんだよ。

顔だけが漱石に似ているってわけじゃなさそうだね。

 

あっそうそう。漱石はね、

朝日新聞の記者だったんだよ。それから、

『それから』という作品も書いているよ。」

 

少し間があって

お兄ちゃんは自分が冗談を言って

それが私に通じているかどうか、さぐっていたから、

「お兄ちゃん、

とっても笑えるような感じじゃないけど、

お兄ちゃんが言うと、

また別の趣があって面白いです。」

 

 

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女流落語作家 泰葉

 

泰葉落語

 

一、下町二丁目十番地<第二部連載中>

 

二、執念の滝 <完>

 

三、浅草人情亭 <完>

 

泰葉落語古典

 

一、源氏物語 <執筆中>

 

二、勧進帳 <予定>

 

三、百人一首 <予定>

 

四、竹取物語 <予定>

 

泰葉落語小品

 

一、浮世絵師 爆志 <予定>

 

人気歌舞伎俳優 中村談蔵

実は浮世絵師 爆志

オークションで今話題の芸術家バンクシー

日本版

 

二、UMAMI <予定>

 

UMAMIは世界の言葉

日本令嬢がヨーロッパ王室に嫁ぎ、誘拐され、、、

 

三、犬神さま <予定>

 

女性と愛犬と妖怪の冒険物語

 

四、SUSHI <予定>

 

佐渡ヶ島の寿司店大将と

島の子供達の感動噺

 

五、貧乏神 多助 <予定>

 

室町時代、古田織部の茶会に現れた

貧乏神 多助

なんと、黒楽茶碗が、、、

 

六、CHANEL <予定>

 

エディット・ピアフが語る

CHANEL

 

七、人体汚染 <予定>

 

IPS細胞と人体ががん細胞と戦う

SF落語

 

八、EMOGI <予定>

私も、詐欺師に騙されたりしました

ネットの善と悪を描きます

 

九、マリリン <予定>

マリリン・モンローの生涯を

落語にします

 

十、Rhapsody In Blue  <予定>

作曲家 ジョージ・ガーシュイン

指揮者 レーナード・バーンスタイン

この二人の音楽魂を描く落語作品