今回の改ざん問題について、『内閣府主導の官僚人事による忖度文化』に端を発する一連不祥事のひとつと位置づけられた。
ただこの事件は『改ざんするなんて信じられない』だけでなく、恐ろしいほど日本陳腐化を示すとの一面もある。
改ざん前決裁書内容:
すでにCGのような振る舞いができる山口弁護士が指摘しているように、改ざん前決裁書の内容は異常である。作成者は本取引を不正と考え、怒りをこめて学生が書くような告発文的な決裁書原案を作成したところまではわかる。驚きはあのおびただしい印鑑があるのに、なぜ二人目以降が、改ざん後のよう当たり障りの無いものへの書き直しを命じなかったことだ。思いつくのは『あの内容が押印した者全ての同意だった、即ち押印していないその上部への反抗』『作成者以外が確認せず押印した』『押印者全員が『こんなこと書いたってええじゃないか』と思った』である。
最初の『あの内容が押印した者全ての同意だった』であれば『押印した人々は常識がある』との救いはあるが『押印していない(する必要の無い)決裁権限者上司を除いて全員正解』との側面もある。これは組織のリーダー選定不良を意味し、『人材不足』『選定方法不良』を意味する。
二番目の『作成者以外が確認せず押印した』は『強烈な怠業』といえる、上位のものはそこに至る印鑑の確認しか行っていないのではないか。と同時に希薄な人間関係を見て取れる。上司部下の関係が密であれば、上司は部下の起こしそうなトラブルは想像できているはず。今回の作成者も、これまで無駄の無い公務員的文書を常に作成していたとは考え辛い、なにか兆候があったのではないか。業務に対して全体が上手く運ぶためにイマジネーションする、という姿勢が感じられない。残念だ。
最後の『押印者全員が『こんなこと書いたってええじゃないか』と思った』であるがこれはもう呑気というしかない。ただこれは大阪で起こったこと、『車けーへんから赤信号渡ったてええじゃないか』『6人がけシート5人で座ったってええじゃないか』『(飲食店で)御手拭置いてるんさかいいっぱい持って帰ったってええじゃないか』の大阪である。まあ『国有地ただで売ってくれてもええじゃないか』がことの始まりか。
お粗末な犯行計画:
『国会答弁との矛盾をなくすため改ざんは14文書に及んだ』までは良しとしよう、犯行計画との意で。ところが国交省に改ざん前文書が残っていて必ず露見する犯行だった。まあ会計検査院の『財務と国交決裁書が違いますね』『(財務いわく)財務保管が正式です』『あっそうですか』とのやりとりは、検査院劣化にあきれさせられましたが。これはもう殺人現場に血のついた包丁もって立っているレベルである。国交の文書を差し替える目処がなければ犯行を思いとどまるべきです。文書差替えはISO9001をやっていれば文書は配布先も最新版を保つことが普通に身につきます。
日本のトップ頭脳集団の犯罪計画としては残念としか言いようがありません。
私は『創造的遊びができなければ創造的仕事はできない』という論者です。
今回は『お粗末な犯行計画しか立てられないのであれば実業務もお粗末では』と思いました。
国会答弁者がそのあまりに狭い世界での経験に基づき『役人がこんな決裁書を作成/押印するわけない』との衝撃で脊髄反射犯行に至ったのかもしれませんが。
本件は『安倍政権終わりの始まり』と言われていますが『日本システム陳腐化』の一端を垣間見ました。
蛇足:ことここに至っては、安倍退陣とともに離婚してワイドショーを喜ばせてくれたらと思う。