抵当権の転々移転と抹消
抵当権の抹消原因(完済、解除等々)が生じる前に抵当権の移転(吸収合併)があった場合当該抹消登記は、抵当権の移転という権利承継の登記せねば登記不可(却下事由)といのは初歩中の初歩ですが、20代に事務員になったころにはこの法務局から指摘(補正=不備なので修正しろまたは取り下げろ)が全く理解できませんでした。抵当権が転々移転した場合例えば3回抵当権者が変わっている場合。名前ではなく当然当事者自体が変わっている場合です。(吸収合併としましょう。)当該抵当権を抹消する場合今の抵当権者まで転々移転登記をすべきでしょうか?実体関係を忠実に反映するのが登記制度の根幹とするとそれも正解でしょう。ただそれは、抵当権の移転という事実だけを忠実に反映したにすぎない?!ということにまりましょう。3回の抵当権移転までの途中で、例えば2回の抵当権移転後に完済がされた場合、当該完済日より前までの抵当権の移転登記はしておく。というのが現行登記制度からすると正解となりましょう。尚、この抵当権移転登記は3回目の抵当権移転登記名義人からの申請になります。登記上は既に、消滅している抵当権者を登記するというところがイマイチ理解しずらい点(自身にとって)でした。そして具体的に最後に抵当権を抹消する場合最終の抵当権登記名義人が抹消登記義務承継者として登記名義人(所有者)と共同して抹消登記申請するということになります。所有権の場合、売買後、登記未了のあいだに売主(登記義務者)が死亡した場合、相続の登記は不要です。もちろん相続登記をしても可能でしょうが登記義務承継者という事実を登記に反映させただけということになります。この場合の最も妥当ななやり方は、相続登記はせずに買主と売主の相続人全員が当事者となって売買による所有権移転登記をするということでしょう。売主が生前に売却している以上相続登記をしないというのが最も実体にあった登記になりましょう。抵当権の転々移転も上記の所有権の場合と同様の理屈になると解します。それにしても現存しない抵当権登記名義人の登記を中間で入れて、最終の抵当権登記名義人の移転登記が入らないまま抹消するというところに違和感はあります。