いつも大人気のジャイアントパンダですね。
でも、国内で実物を見られるのは東京の上野動物園などごくわずかですね。
まして赤ちゃんパンダとなれば、定期的な繁殖に成功している和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」だけですね。
飼育下での自然交配が難しいとされるパンダですけれど、なぜどうして
和歌山だけ次々と赤ちゃんが誕生するのでしょうか
その背景を調べると、父親パンダと母親パンダの個性に加え、「子作りは2年サイクル」という同園の繁育方針があるのだそうで、それが功を奏しているそうですね。
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8月10日の朝は特別な日だったようです。
この猛暑で、強い日差しが照りつけ、気温がグングン上昇する中、アドベンチャーワールドを訪れた子供からお年寄りまで約300人が、パンダの赤ちゃん「優浜(ユウヒン)」(メス)がいる飼育施設の出口に視線を注いでいました。
白と黒の模様が見えたとたん、来場者からは歓声が上がり、場内に「ハッピーバースデー」の曲が流れたのです。
この日は「優浜」の1歳の誕生日なのでしたぁ。
パンダファンにとっては逃せない記念日です。
「優浜」は同園で平成24年8月10日に産声を上げ、すくすくと育ち、今や体重は28キロ超と誕生時の167グラムから約170倍になったということです。
ただし、同園ではパンダの誕生日は珍しくないですね。
翌日の8月11日は双子の「海浜(カイヒン)」と「陽浜(ヨウヒン)」の誕生日。
さらに23日は「幸浜(コウヒン)」、9月8日はこれも双子の「隆浜(リュウヒン)」と「秋浜(シュウヒン)」の誕生日です。
それもそのはず、ここで生まれたパンダは実に12頭にも上るのですよ。
そのうち11頭の父親が「永明(エイメイ)」です。← 絶倫
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「パンダの年齢を人間に例えるなら、だいたい3倍すればいいです」。
こう説明するのは、同園で広報を担当する高濱光弘・業務課長。
父親パンダの「永明」は4年9月生まれで、まもなく21歳で、人間に例えれば63歳にもなり、還暦を超えているのです。← まさに絶倫
しかも永明はただ年をとった元気なパンダではなく、パンダの世界では英雄ということみたいで、
「世界でも10本の指に入る優秀なパンダです」
と高濱課長は言っています。
実はパンダの本場の中国でも、多くが人工授精の繁殖に頼っているのが実情のようですね。
自分で交尾できるオスのパンダは貴重な存在なのです。
特に人工飼育下ではこうしたオスは少なく、基本的に自然交配で子供を作ってきたところが「永明」の優秀なところなのですねぇ。
また還暦の年になっても「優浜」を設けるなど、オスとしての強さも持ち合わせています。
さらに、「性格が優しい」のも子だくさんの一因。
パンダの繁殖期間は3月から5月までの間の数日と言うことは、上野のパンダのニュースでご存知でしょう。
しかもパンダ同士の相性問題は難しく、メスに嫌われるとなかなか交尾できない。
しかし「永明」は強引ではなく、メスの発情期に合わせられるという。
かなりの優等生ぶりだが、飼育員にとっては気を使うことも多いらしく、夏場の体調管理もその一つです。
また竹の好き嫌いも激しいらしいですね。
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一方、「優浜」の母親の「良浜(ラウヒン)」について、高濱課長は「子育てがうまくなっている。落ち着いて面倒を見てますよ。ちゃんと子供を抱きかかえて母乳をあげることができますから」と話しています。
人工授精と人工保育のセットが珍しくないパンダの世界で子育ては貴重な能力なのだが、これは「良浜」の母親の影響が大きいというのです。
「良浜」の母親の「梅梅(メイメイ)」(20年10月に死亡)は15年9月に「隆浜」「秋浜」の双子を出産し、なおかつ世界で初めて双子を自力で育てた記録を持つパンダだったのですねぇ。
パンダは双子を産むことが多いが、野生の状態ではどちらか1頭しか育てず、残り1頭はそのまま死ぬことが多いらしいです。
人工飼育下では、時には母親が子育てを放棄して2頭とも飼育員が育てることもあるが、「梅梅」は両腕に2頭を抱いて、同時に世話をしたり母乳をあげたりといった離れ業を演じてみせたという。
さらに口に赤ちゃんをくわえて、人間でいうところの「高い高い」をしてあやしている姿も目撃されています。
そんな様子を見てきた「良浜」も2頭同時はまだ無理だが、「子育ては自分でするのが当然」と言わんばかりの子煩悩な面を持っているというのですよ。
両親が良いパンダだった血を、受け継いで、また親の背中を良く見ていたのですね。
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こうした子育てをサポートするのが、同園の出産方針なのですね。
赤ちゃんパンダが乳離れして竹を食べて生きていけるようになるのは、乳歯が抜けて永久歯に生え替わってからという。
最短でも約1年2カ月、長ければ1年半かかり、この期間は、新しい子供をみごもることなく、しっかりと育てさせようというのが同園の方針なのです。
一方、中国の繁育施設では1年に1回の人工交配が普通とされる。
同園があえてそうしない理由は、子供パンダがお母さんを見習えるようにするためですね。
「育てられた期間が長いほど、母親の行動を覚えていて、いいメス、いいオスになる。わざと1年半、ゆっくりと子育てをさせるのです」(高濱課長)
そのため「子作りは2年に1度」というルールを定めている。また、こうすることで母親パンダにも余裕ができ、次の子作りにも前向きになるというわけだ。
ただ、次々生まれた和歌山・白浜のパンダたちだが、所有権は中国にあり、施設の問題もあって、大人になると中国に帰すのだという。
もっと、日本でたくさん産んで欲しいしですね。