跳び蹴り、頭突き、夏のグラウンドで100周走……。


文部科学省が26日発表した体罰の全国調査は、各地の学校現場にさまざまな形で体罰が広がっている実態を示した。

 

中間報告(2012年4月から13年1月)だけで計840件が確認されたが、集計が進めばさらに膨らむ見通しだ。


大阪で起きた体罰自殺問題をきっかけに改めてクローズアップされた体罰。

防止マニュアルを策定する動きもあるが、教育現場で、児童生徒を教師が力で抑え込もうとする姿が浮かび上がった。

 


「今後、指導の方法をどう変えればいいのか」。

神戸市内の中学校で昨年秋、体罰を理由に懲戒処分(減給3か月)を受けた40歳代の男性教諭は、校長らに戸惑いを見せたという。


部活動の指導中、円陣を組んでいた1年の男性部員が笑っているように見えたとして、顔を平手でたたいたり、腹部を拳で殴ったりして約1か月のけがを負わせた。


別の1年の部員にも「声が小さい」などとして足を蹴って転倒させていた。


校長は「体罰はあってはならない」としたうえで、「指導上の悩みを抱え込まないように教員同士で相談しあえる環境をつくりたい」と話した。

 


今回の調査で確認された840件の体罰のうち、約3割は骨折や捻挫、鼓膜損傷、打撲などの傷害を児童生徒に与えていた。


直接の暴力ではないが、真夏にグラウンド100周走を命じられた生徒5人が熱中症になった事例(栃木県高根沢町)、炎天下のプールサイドに正座をさせられた生徒が足にやけどを負った事例(東京都江東区)などもあった。



2013年4月28日 読売新聞)


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