ストリーミング映像にて、「HEAVEN」「GALAXY」『memento mori』の
マーケティング・トークを一望出来る。

2008年のクリスマス時期向けにシングル第一弾の「HEAVEN」から、
今井寿のクリスマスの思い出ネタは、鳥のもも肉のエピソードと、
櫻井敦司のクリスマス・プレゼントのおねだりから始まるが、
本当に沢山のコマーシャルに精力的に今井寿と櫻井敦司のコンビで出演している。
「HEAVEN」に関しては力強いメッセージとメロディのカッコイイロックであると、
今井寿がアピールしている。
「GALAXY」に関してのコメントは疾走感とロックサウンドと紹介している。
那須高原での「HEAVEN」の撮影の感想や
年末恒例のスペシャルライヴ【THE DAY IN QUESTION】について語っているが、
最後の櫻井敦司から今井寿へのクエスチョンは、年末年始のテレビ番組についてで、
今井寿の大好きなダウンタウンの『ガキの使い』のスペシャル番組で
「笑ってはいけないシリーズ」をあげていて、
「録画して、ず~とそればかり見ています」
と答えている。

それに関しての櫻井のリアクションが、これまたシュールなコマーシャルトークとなっている。

次の映像は年が明けて2009年すぐに「GALAXY」リリースと、
それに控えるニュー・アルバム『memento mori』のコマーシャル映像であるが、
「GALAXY」を素晴らしい愛のロックンロールと評している。
アルバム『memento mori』に関しては、今井寿がシンプルに、
「素晴らしいです」と語った後に、櫻井敦司がうなずいている。

去年の思い出に関しては今井寿は「忘れちゃいました」とコメントし、
「今年、ライヴツアーで逢いましょう」と将来について語ってくれる。
追随する櫻井敦司も
「今年はガンガンいきます」と、その抱負を語ってくれた。

コレは、想像以上のパフォーマンスで実現してくれた2009年と言えるだろう。

2009年も2月に入ると2月6日(土)に、
東京渋谷のスペイン坂サテライトスタジオから放送のTFM/JFN38局ネット
『TOYOTA SOUND IN MY LIFE』に出演した櫻井敦司と今井寿のふたりは、
ニューアルバム『memento mori』についてや、
BUCK-TICK結成以来の秘話を語ってくれた。

この模様は『TOYOTA SOUND IN MY LIFE』の動画が、
番組ホームページ(視聴)で公開された。

またデビュー22年目を迎えるBUCK-TICKの櫻井敦司と今井寿が、
2月7日に東京・渋谷 スペイン坂スタジオにて現れると渋谷スペイン坂には、
全国から500人以上のファンが押し寄せた。
公開収録されるラジオ番組に登場した二人は約40分間の生放送に出演した。

BUCK-TICKは20年以上もメンバーが変わることのなく活動していながら、
生の姿をライヴ以外で見られることは滅多にないため、
貴重なチャンスを逃すまいとファンが押しかけたの仕方のないことだろう。
櫻井、今井が登場すると、期待感が高まり興奮状態のスペイン坂スタジオは、
更にヒートアップし、歓声と共に黄色い悲鳴が飛び交う。

過去を振り返るという番組のコンセプトのもと、
1987年のBUCK-TICKのデビュー時に溜まり場となっていた今井家で、
BOφWY、スターリン、一風堂などを聴いていた話や、
ヴォーカルの櫻井敦司が元々ドラマーだった話などのエピソードが紹介された。

そして、「1987年の自分に一言言うなら」という質問に対し、
櫻井敦司は

「一緒に酒や飯にでも行こう。こんな風になるんじゃないぞ。
逆にデビュー当時の自分が何を考えていたか聞きたい」と答え、

今井寿は
「そのままで大丈夫。でも、あんまり調子に乗ると大変な事になるぞ」

と新曲「memento mori」の歌詞ともとれる回答をした。

またニューアルバム『memento mori』の呼び方を今井寿が、
「お茶付け海苔」というイントネーションだと発言し、
アルバム・リリース前に、今井寿らしいロック名言と披露した。

そしてこのタイトルが繰り返し伝えられてきたように、
アンティークの人形のタイトルから来ているエピソードも伝えられている。

「そのままの意味だと「死を忘れるな」「死を想え」ってことになるんですけど。
そこから、なんだろうな、前向きな捕らえ方とうか、
「前向きに生きてみたら、うん、いいんじゃないの?」みたいな」

と語る今井寿の表情は哲学者のソレと言えるだろう。

「そうですね。ここ最近こういう。
“唄”が中心にあって、ギターがあって、リズムがあってっていう。
そういうモノに凄く惹かれてるっていう感じです」

とアルバム『memento mori』のサウンドについて語っている。

二人の貴重な話に耳を傾け、中には感極まって泣き出してしまうファンも出るほど騒ぎとなった。



$【ROMANCE】





「HEAVEN」「GALAXY」からニューアルバム『memento mori』リリースまで期間の
徐々にテンションが上がって行く様は、まさしく“興奮状態=パラノイヤ”と言えただろう。

前アルバムの『天使のリボルバー』が、ライヴツアーの最中に登場したのとは違い、
丁寧な計画的な盛り上げ演出で、この時間を、BUCK-TICKファンに提供してくれた。

その大きなキーワードはやはり“memento mori”という言葉。

「死を忘れるな」「死を想え」

という格言の存在であろう。



いかにも、BUCK-TICKらしい格言なのであるが、
意外にも、大好物の「死生観」を“生き様”を切り口に描いた点が大きいだろう。


「親指と描くには、親指の周りの空間を描くことだ」

という画家の指導法があるが、
まさしくBUCK-TICKも【生き様】を描くことで、【死】と描くという手法は、
櫻井敦司のなかに、沸々と煮えたぎる闇のパワーを今井寿をして、反転させ、
こんな世界観でも【死】を語ることが出来るよ、と耳打ちしたかのようだ。

アルバム『memento mori』の打ち合わせは、櫻井敦司によると、
鮨屋での事前ミーティングで、今井寿が、この「memento mori」という格言を、
テーマとして持ち出して来たということであるが、
それが、アルバムのタイトルにも成り得た過程には、
ヤガミトールの【死】、樋口豊の【死】そして、星野英彦の【死】というものも、
内包するモチーフといえてヴァラエティー豊かに人間の【生】と【死】を描くことに成功している。

アルバム『十三階は月光』で、ダークなファンタジーを計算し尽くされた演出で、描き切って以来、
アッパーで、キャッチーな方向にロックサウンドを展開して来た経緯から考えて、
その完成を見た20周年を記念する『天使のリボルバー』で、
一旦、ケリを付けたBUCK-TICKは、
この『memento mori』で、新展開を魅せつけることになる。


僕は、『memento mori』は、彼らの新しいデビュー・アルバムだと想う。



以下、So-net Musicでの櫻井敦司と今井寿のインタヴューを転載する。







■“ロックンロール”“アッパー”“ライブでの盛り上がり”そういう原始的でシンプルな発想が原点

So-net Music(以下So-net):昨年末の「HEAVEN」から「GALAXY」、
さらにアルバム『memento mori』とリリースラッシュが続いてますが。
今みなさんはガツッと音楽モードに入られている感じみたいですね。

今井「いつもそうしたいんですけどね。あまり器用にこなせるほうじゃないないんで。」

So-net:いやいや。きっとみなさんが音楽というものと真摯に向き合われているからこそ、
妥協を許さないからこそなのかな、と。

今井「音楽を作るときは真面目にじっくりやってはいるんですけど。
(リリースとリリースの間が)長すぎるのもどうなのかな、というのは自分達でも正直ありますね(笑)。 」

So-net:それにしても、1987年のメジャーデビューからみなさんは常に第一線で活躍されていますが、
長く続ける秘訣みたいなものはあるんですか?

今井「みんな大人ですから(笑)。」

So-net:メンバー同士の微妙な関係性の変化とかってあるんですか?

今井「(即答で)ないですよ、とくに。」

So-net:今、櫻井さんはこう思っているんだろうとか、
言葉を介さなくてもそのときの空気でお互いのことが察することができるというか。

櫻井「(微笑)」

So-net:長年連れ添った夫婦みたいな。

今井「そこまでいっちゃうと気持ち悪いですけどね(笑)。」

So-net:みなさん寡黙で、あんまりガッツリ話し合っているイメージがないので、
普段どういうところで理解しあっているのかなと純粋に思ったんですよね。

今井「いや、話しますよ(笑)。
じっくり細かくというのはないですけど、空気感を伝えるというのはありますね。
今回のアルバムのときも、ミーティングと称してみんなで飲みにいって、
そこでポロポロとキーワードを出して、これにしようと。
決して言葉数が多いわけじゃないですけど、的外れな方向に行くことはないですね。」

So-net:なるほど。きっとそういうところが長く続けれらる秘訣なんでしょうね。

今井「大人ですから(笑)。」

So-net:ちなみにいつぐらいにミーティングはされたんですか?

櫻井「昨年(2008年)の3月ぐらいかな。
で、曲作って、スタジオ入って、最終的に出来上がったのは11月ですね。」

So-net:先に大まかなコンセプトがあって、それに向かって仕上げていったという感じですか?

今井「もっとロックンロールというか、原始的な部分。
頭で考えるとかではなくて、アッパーな感じで、例えばライブ会場で盛り上がれるとか、
そういうシンプルな発想だったり、歌モノだったり……で、それがキャッチーであるとか。
それぐらいであんまり着地するところは明確に決めてなかったですね。」

So-net:確かに思わず一緒に口ずさんだり、
体が揺れてしまうようなメロディアスな楽曲が多く収録されてますよね。
そして、全体的に聴いて感じたのが、より外へ向かって放たれているなと。

今井「自分達ではよくわからないんですけどね。」

■カップリングではじまるという発想の非常識な面白さが採用に

So-net:また『memento mori』というタイトルは今井さんがつけられたそうですが。

今井「わりと最初のころに出てきたんですけど、
『memento mori』ってよく聞く言葉ではあるんだけど、おぼろげにしかわかってなくて。
で、いろいろ調べてみたらどんどん興味が沸いてきて。
しかも、言葉のリズムだったり、わからなさ加減が面白いなと。」

So-net:資料にラテン語で「死を忘れるな」という意味を持つと書いてあったのを見て、なるほどなと。
だからこそ、来るべき死を恐れるのではなく、肯定的に受け止めると言いますか。
さっき言ったように外へ向かって放たれている感じがしたのかもしれないですね。
しかも、「memento mori」というタイトル曲が今作の中でも異色といいますか。
ダンスサウンドに沖縄音階が導入されていたりと、新たなBUCK-TICKを感じました。

今井「最初は民族風の曲ができたらいいなぐらいのノリで、
単純なコード進行を付けたり、いろんな角度から固めていったら、
最終的に琉球の感じになったという。
ほんと偶然出来た曲なんですけどね。」

So-net:意識的にというわけではないんですね。
それにしても毎回BUCK-TICKというバンドの軸はぶれずに、
新たな挑戦だったり、どんどんバリエーションが広がっていて、さすがだなと。
リリースのたびに新鮮な驚きがあるんですよね。

今井「やっぱりそれがないと……というのはありますね。
でも、そのためにというよりは、ただいいものを作りたいという、そっちの気持ちのほうが強いですね。
自然とやっていったらこうなったみたいな。」

So-net:また全体的な流れ、構成も絶妙で。
個人的にはタイトル曲を境に、1章、2章とわかれているようにも思えたのですが。

櫻井「曲順はメンバーそれぞれ、いろんなアイディアがあったんですけど、
1曲目の「真っ赤な夜-Bloody-」に関しては、マニュピレーターのアイディアで。
カップリングではじまるという発想が自分達の中にはなかったので、
非常識な面白さが採用になりましたね(笑)。
で、「Message」で一旦トーンが落ち着いて
「memento mori」でまたというので二部構成的なものを感じたのかもしれないですけど、
結果的にすごくメリハリの効いた15曲になったと思うし、
かつうまく1枚にまとまったと思います。」

So-net:曲順っていまだに悩まれるものなんですか?

櫻井「もちろん。それぞれの思いがありますからね。
5人いたらなかなか決まらないですし、どれが正解とかないんで。
まあ、僕は押すポイントとかないときはわりと早い時間で降りますけどね(笑)。
でも、歌詞は僕に任せられている部分が多いので、
そこは今井と話しあったりしながら自分の思った世界を自由に描かせてもらってますね。」

So-net:今作でも「死」をイメージされてるものがやはり多いなと。

櫻井「とくに意識してそうしているわけではないんですけど。
自然とそっちにいってしまいますね。
だけど、「死」といってもただ破滅的なものを描くだけではなく、
より生命力だったり、大きな愛でだったり、
何かしら感じてもらえるメッセージは込めていたりしますね。」

■僕らは僕らでマイペースにやっているだけ

So-net:ところで、BUCK-TICKというバンドは、リスナーのみならず、
若手も含めた多くのバンドやアーティストからもリスペクトを受けていますが。
そういったところで先陣を切っている責任感みたいなものはあったりしますか?

2人「……(微笑)。」

今井「僕らは僕らでマイペースにやっているだけなんで。まあ、ありがたいですけどね。」

So-net:BUCK-TICKのすごいところって、長年のファンはもちろんのこと、
リリースするたびにどんどん新たなリスナーが増えていて、
両者が共存しているところにあると思うんですよね。

櫻井「それは僕達も感じてますね。
今日はお母さんと来ましたとか、親子で来ている方とかも多いですし。」

今井「でも、バンドとかに関しては(リスペクトしてくれているって話を)
直接聞いたりすることってほとんどないですから。むしろ本当にそうなんですか?(笑) 」

So-net:清春さんとか、

今井「てか、若手じゃないじゃん(笑)。」

櫻井「(笑)」

So-net:いやいや、ほかにも上げたら切りがないほどいますし。

今井「……じゃあ、それは素直に、ありがとうございます(照笑)。」

So-net:では、最後に。改めてアルバム全体の聴き所をお願いします。

今井「15曲もあるんで、しかも、それぞれがバラエティーに富んでいるので、
充分楽しめるんじゃないかと思います。」

櫻井「レコーディングをしているときからライブで盛り上がるだろうなと
イメージできる楽曲が今回もたくさん入ってますんで、
ぜひ4月からツアーも始まることですし、アルバムを聴いてライブにも足を運んでもらえたら。
そして、音楽そのものを純粋に楽しんで、肌で感じて、
一緒にハイになってもらえたら嬉しいですね。」

今井「このアルバムもそうですけど、ツアーも相当かっこよくなっていると思うんで、
ぜひツアーで会いましょう!」

●Text/星野綾乃



$【ROMANCE】





シングル盤『HEAVEN/真っ赤な夜』『GALAXY/セレナーデ -愛しのアンブレラ-』のカップリング楽曲、
「真っ赤な夜」「セレナーデ -愛しのアンブレラ-」は、アルバム『memento mori』には、
収録されない予定であったらしい。
今井寿の要望により、“-Bloody-”“-Sweety-”の
サイドネームが取り付けられてニューアレンジで収録され、
全15曲というフルヴォリュームの作品となったが、
『memento mori』には、“長い”という印象が不思議なほど感じられないのだ。

そして、確かにアッパーな方向性のバンド・サウンドではあるが、
BUCK-TICKのその前世(『天使のリボルバー』以前の彼ら軌跡)が、
その裏に浮かび上がるような不思議なオーラを纏ったキャッチーさ、ポップさを内包している。

一筋縄では、説明出来ないラウド・ギター・ロック・サウンドだ。

これはシングル「HEAVEN」「GALAXY」で、すでに実証されていたことであったが、
アルバム『memento mori』全15曲にも同様の配分で、ソレが施されているのを耳にしたリスナーは、
初めて聞く、そして、なぜか懐かしい最高傑作『mememnto mori』に、
言葉なく、胸を熱くし、己の足元を見直し、やがて、優しい涙のしずくが零れるのを、
止める術を知らなかった。


あらゆる意味で、奇跡のロックンロール・アルバムが、『memento mori』であった。




$【ROMANCE】