パワハラ社長は、不登校の子を受け入れる寮のようなものを作りたいのだそうだ。
「私の子はね、2人とも普通に育って、本当にありがたいと思うのよ。不登校ってのは、結局は親の責任よ。だけど世の中には学校に行けなくなって、どこにも行き場のない子達が沢山いるのよ。私はそういう子達のことを考えると涙が出るのよ。私が何とかしてあげたくて。日本人は農耕民族だからね。畑をやらせたらいいのよ。畑をやったら、すごくいい子になるわよ。」
そして、近くある会社が建設予定の、不登校の子を受け入れる施設の資料を手に入れた社長。それを眺めながら「これを見て私が1番先に思ったのは、ご飯は誰が作るの?って所よ。あなた、そう思わない?」と言う。心の中では、そりゃ誰か雇うんだろうよ、と思うが、面倒なので「そうですね。」と答える。更に、よせばいいのに思わず口が滑ってしまう。「自分の子じゃないですけど、ちょっと心配になっちゃいますね。」この一言がパワハラスイッチを押してしまった。
突然「じゃあ、あんたがやんな。」と言われ「え?いや、私は...」と応えると「あのね。やる気もないのに心配とか言うんじゃないわよ。じゃあやれって言われたら『いや~私は~』って。そういうのが1番腹が立つのよ!私は違うわよ!私は自分でやるのよ!」
そういう社長の現段階の計画では、施設建設と経営はとある会社に丸投げ、自宅近所に作らせたその施設に、自分の都合のいい時に口だけ出すスタイルだ。それに、その施設を建設させることによって社長には売上が入る。
本当に不登校についてお金抜きで考えている人なら、自分のお金で施設を作り、自分が責任をもって経営するんじゃないの?
更に、丸投げしようとしている会社は、今まで不登校に関するビジネスは未経験。社長の夢に巻き込まれた営業の人は「いや~、ウチではやったことないので。これから稟議を通さないといけないですねぇ。通るかなぁ。」と戸惑い気味。でも、「絶対通るわよ。補助金が出るのよ?通らないわけないじゃない。何かあったら私が全力で応援するから!」と言っていた。
社長は知らないけど、私は不登校に関してはかつて当事者だった。農作業はもちろん良いと思うが、そもそも一番病んでいる時には朝起きることが難しい。農業をやれる状態の子は、既にだいぶ回復している状態だと思う。そして、自分の価値観を押し付け、気に入らないことがあれば直ぐにキレるの社長のような振る舞いは、心を痛めている子供相手に一番やってはいけない行為だと思う。それに、どんなに切羽詰っていようが「不登校は親の責任よ。」なんて言っている人が関わっているような所に、大事な子供を預けようとは思わない。こうやって、表向きは優しい顔をした、困っている人を食い物にするビジネスが蔓延るのだと思ったら、腹が立って仕方ない。
できるものなら面と向かって言ってやりたい。「お前みたいな自己中パワハラ女に、私の大事な子供を預けるなんて、絶対嫌だね!」
言えないけど。