京都大学 国語2024問二
高村光太郎『永遠の感覚』
内容紹介
芸術の永遠性、悠久性とは何だろう?
永遠①
時間的:作品の不滅
→問一
しかし、物質の消滅は必須。永遠不滅なんて虚栄だ。。
→問二
永遠②
感覚的:永遠を感じさせる力。(美に内在する)
→問三
永久③
普遍性、人類性
=真に大なる作品
特徴
・はじめは抵抗をうける
・無所属的公共物のようになる
→問四
・人間精神と技術芸能との超人的な境における結合に由来
→問五
解答例
問一
われわれ芸術にたづさはるものが此の永遠性を日月のやうに尊崇し、今日あつて明日は無いやうな芸術的生命から脱却したいと思ふのは、あながちただ斗讐の徒たるが故ばかりではなく、
(1)至極当然なことである。
※斗讐(とせう)の徒=器量の小さい者
どういうことか
芸術の極地が作品の永遠性であるならば、芸術家が、自分の作品に天地のような悠久性を求めたとしても、別に調子に乗ってるわけではない、ということ。
↓こんな感じ?
![凝視](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/629.png)
問二
(2)ところで其処へニヒルが頭を出す。永遠などといふ事があてになるだらうか。
ここでの「ニヒル」とは、どういうことか
芸術は、製作時の作者内面の要求を志向すべきにもかかわらず、諸行無常の理を犯し、作品の時間的な不朽を求めるのは虚栄で傲慢だ、ということ。
永遠を象徴する古墳とか未完のサクラダ・ファミリアは視覚的だけど、最近は「魂」「スピリチュアル」=精神に永遠を感じる時代なのかも。
日本だと、万葉集・縄文文化とか。![龍](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/177.png)
視覚芸術は抽象にならざるを得ない?
問三
(3)芸術における永遠とは感覚であって、時間ではない。
どういうことか
芸術における永遠性は、時間的な不滅性や主題の真実味に関わらず、作品の美に内在する、人に永遠を感じさせる性質にある、ということ。
個人的には、タゴールの詩やチベットの砂曼荼羅に永遠カンジル!
ビーナスもいい感じ。
問四
永遠の時間性は又空間性に変貌して高度な普遍性につながる。
(4)真に独自の大きさを持つ芸術作品は直ちに人にうけ入れられない
どういうことか
万人を感動させる普遍的な芸術作品は、はじめは抵抗を受けるが、いつの間にか、空気のように当然のものとして、人々に受け入れられるようになる、ということ。
童謡や子守唄て、作者とかいなくて、初めから存在してたと思っちゃう。
はじめ、どんな抵抗されてたか気になる。笑
『歌詞があるなんて音楽じゃない!それは会話だ!
』みたいな?
問五
芸術上の大を持たない作品は特殊の美として存在するが斯の如き悠久にして普遍の感を持たない。偏倚の美乃至パテチツクの美は斯の如き形而上的の永遠を持たない。
しかも世界に星の真砂の如く、恒河沙数の如くきらめく(5)さういふ明滅の美こそ真に大なるものを生ましめる豊饒の場となるのである
どういうことか
芸術作品における普遍性は、作品に備わる美を求める性質と人為を越えた力との結合により生まれるため、すべての作品に、その可能性が秘められている、ということ。
ムズ。該当箇所が分からん。
途中の
芸術は美を求めて進むものであり、その美の奥にはおのづから永遠を思はせるものが存在する。美は常に或る原型へと人を誘導する性質を持つてゐるからである
と最後段落の
永遠性は、「人間精神と技術芸能との超人的な境における結合から来る」
に注目して、ニュアンスとしては、
〈作品の普遍性は狙って創られるものではない。超自然的な力により、いつの間にかそうなるのだ。〉
おわりに
文章の読解力ではなく、芸術鑑賞と感想の言語化トレーニングが必要な気がした。
読解問題と感想文がミックスされたような。採点が難しいけど、思考や表現力だけじゃなく感性を測る入試は興味深い![クッキー](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/260.png)
いつか、感性も機械で測定するようになるのかしら、、