こんにちわ。

いよいよ今年もSuccession Planning & Talent Reviewの季節がやってきました。今年は、US本社で担当するグローバルR&D全体のプロセスをリードすることになりました。とても楽しみです。


さて、このサクセッションプランニング(Succession Planning)。

評価制度(英語では一般的にPDM:Performance & Development ManagementとかP&Dとかいいます)が年間のプロセスを通じて社員全体の育成を図るのとは別に、企業の一部の「キータレント」についてポテンシャルをアセスメントし、育成計画を立て、実行に移すためのプロセスです。

私が前職の日系企業で働いていた6年前頃は、近い概念はあったもののせいぜい「キータレント」を特定して、特別な研修を受けさせる程度が関の山。形骸化していました。最近ではようやく変わってきたようですが、まだまだ運用には課題が関の山のようです。。

外資企業では、このプロセスにかなり前から相当力を入れて魂のこもった運用をしています。株主が企業に安定的な成長、高配当を期待するのであれば、安定的な成長を実現する「Strategic plan」に相応して人材パイプライン(後継者候補群)を構築するのは当然どの企業にとっても最重要プライオリティの一つとなる訳です。




目的は企業によって濃淡はありますが以下4つ。

・中長期のビジネス戦略を実現するために必要なTalent Needsを明確化する

・そのためのキータレントを特定し、育成する

・特にクリティカルなポジションに対し、タレントのパイプラインを構築する

・企業内で、キータレントを最適活用する


この目的を達成するために、マネージャーは各社員のキャリア志向、過去の業績、能力(学習能力、より難易度の高いポジションに適応する能力)などを勘案し、キータレントを特定。彼らの3年後、5年後に目指す具体的なポジション名(複数も可)と、そのReadinessを明確にし、育成計画を立て、育成に必要なリソースを集中投資します。


社長及び各企業内の部門長は、自部門におけるクリティカルポジションに対し、どの程度キータレントのパイプラインが構築されているかアセスメントします。複数名が名を連ね競争が起こるのは幸運の証。実際はそんなことはめったに起こりません。穴だらけなんてこともあります。外部からの採用を併せて検討し、アクションに移します。


このサクセッションプランニング、上述したように「後継者を育てる」という意味合いがあります。自分の後継者を育てるのは上長では無く自分の責任。後継者を育てることが評価され、自分が次のポジションへ移ることを後押ししてくれる。

何故日系企業でサクセッションプランニング導入が遅れ、今もなかなか機能していないのか・・・多分この視点が根付いていないからだと思います。後継者を育てていつか「その日」が来たときに自分のポジションを譲るということは、リタイアする時以外は、自分が、次のポジションに移る準備が整い、自身のキャリアプランに沿った別のチャレンジをする時です。(まさか進んでステップダウンしたいひとなんてめったにいませんから)

ということは、部下や後継者候補以上に、自分も自分自身を高め続けなくてはならない。 部長職や役員職についたから「アガリ」というマインドでは、後継者を育てる=自分が損をする という構図にすらなりかねません。



サクセッションプランニングは上述した4つの目的で運用されます。

が、実は企業内のHigh Hierarchyが自ら進んで自分を高め続け、自分の次のキャリアが「Ready」となるように努力し続ける。結果としてこの率先垂範が、ひとを育て、High-performanceを実現するカルチャーを企業内に根付かせる・・・このプロセスにはそんな副次効果もあるなぁをふと感じました。



Yassy