こんにちわ。人に影響力を与えて、動かし、期待する行動を取ってもらうのは難しいですよね。組織内のピラミッドにて上司⇔部下のラインが無い場合は、会社から与えられた権限によらずリーダーシップを発揮しなくてはならないので、特に大変です。(「業務命令!」を発動出来ませんし;苦)

「Influence without authority」
私はこれこそ、HRやFinanceなどの経営サポート部門の仕事の醍醐味 だと思っています。


USに赴任する直近2年間強、初めてHR Business Partner(ジェネラリスト)の仕事を経験しました。まさしく、この影響力に悩まされ、鍛えられました。
恐らく、これからも長らくジェネラリストを基軸にHRのキャリアを築いていくことになると思います。今日は、Influence without authorityを実現し、HRとして価値提供するために私が大事にしていることを紹介します。

尚、以下3つ共、「HRの役割とは?」という命題に深く関わります。多くの企業が「戦略的人事」への移行期ですが、やはりこの分野もUSが先進国です。機会があれば別ブログで紹介します。

(1)プライオリティを「本気で」意識する
大・中・小問わず日常には様々な実務がゴロゴロ。なんでこんなに仕事があるんだ?(=問題だらけなんだ?)って感じです...よね。どの仕事もプライオリティ付けが基本ですが、HRもまた然り、です。
担当ステークホルダー(大抵相手は役員級ですかね)のHR Priority Top3に常に時間の大半を使っているかを徹底的に意識します。まあいいところ最大5つまでだと思います。
例えば、あるクリティカルポジションの採用であれば、朝会社に来てまずフォローアップ、昼考え、退社時に考え、帰りの電車で考え、風呂で考える時もあります。一日中その解決だけのために時間を使う。ステークホルダーの最重要プライオリティにどれだけ本気になって汗をかき、成果を出すか。もちろん最後はその成果がFinancial Goalにつながるか。これで評価されます。Top3以外の仕事は「上手く」切り捨てます。
やってみて分かったんですが、結構この辺り、言い訳のしどころが転がっています。そもそもHR関連の業務は、成果が目で見えにくい。「そんなこと言ったって急に明日採用出来る訳ないじゃん」「あの役員はいつも無茶をいう・・・」っていう感情も正直芽生えたりもします。まあそう言わず頑張るのみ。
ちなみにこのプライオリティ、当然ながら日々刻々と変化します。柔軟に立ち回る力が肝要です。

余談ですが、このジェネラリスト、よく当社内にも忙しく現場を飛び回って社員やFirst Line Managerと交流しているひとがいます。一見「忙しく仕事をして飛び回っている」ように見えますが、最重要プライオリティにAddressしていない可能性が多いにあります。一般的に、ジュニアなジェネラリスト程この手の行動パターンになりがち。シニアになればなるほどプライオリティを絞りますので、当然時間を使う相手もVPやせいぜいDirectorクラスに限られてきます。 但し、「現場を見て現状を理解する」と割り切る場合は別です。ただ、この場合は自分がこの時点では「コスト」しか発生させていないことを意識する必要があります。

(2)「4角形」の関係を築く
これは私自身、正直なところ就任当初かなり苦労しました。やってみると意外に難しい。
要は、①自分 ②HR Head(上長) ③自分のクライアント(役員) ④クライアントの上長(社長)の4者で常に関係性を築くということです。
ここでは、上長を巻き込むスピードや適切な報告が求められます。実際は・・・クライアントも海千山千です。いつのまにか自分の上長(社長)に話しがいき、社長からHR Headに話がきて、自分に話しが降りてくる。「これ、どうなってるの?」と上司から呼ばれる。こんな事態が結構発生します。大抵、この手のルートでくる案件は超難問か問題が殆ど。多くの労力が必要になります。。こうなったら、とにかく急いで火消しします。「あーあ、しまったなぁ。1敗」と切り替え、次こそ必ず!と必勝を期します。
この辺り、詳細は、「Flawless Consulting」という名著にも詳しく書かれています。ご興味があれば
ビックリマーク

(3)視点をZoom-outする(何のため?誰のため?)
担当するビジネスのステークホルダーの成果を「ひと・組織」の面でサポートするのが一義的なRoleですが、時に組織内では部門間で利害が対立する(対立してみえる)ことがあります。当然、役員同士、HRビジネスパートナー同士の利害も対立します。
「この場面でどうたち振る舞うか」が最大の分かれ道です。
当たり前ですが、我々は全員「企業の目標達成=社長の目標達成。社長をサポートする上司のHR Head」のために仕事をしています。この視点を忘れて、HR内部ミーティングなどで意固地に担当部門の利益ばかりを追求する言動を取ると、HRとしてこれは手痛い。ちなみに、「それはHR Headが最終決断して下さい」という姿勢もNG。これをやるとまずこのHR Headからは重宝されないでしょう。やさしい上司であれば何度かコーチングしてくれます。ただある程度「ジュニア」を卒業すると周囲から言ってもらえなくなります。自分で気付くしかない。いつまでも気付かずにこれを続けると、ほぼ間違いなくアウトグッド!。 結構この辺りで痛い目を見ているひとは、多いはずですカゼ 自戒の念を込めて。

じゃあどうすればいいか。HR全員がHR headのつもりで自発的に最適解を考える。担当ステークホルダーである「役員」に社長の”帽子”をかぶってもらい、全社としての最適解を冷静に考えてもらうようコーチングする。若しくは(2)の4角形を使って話し合う。これが正解です。

ただ、これは・・・難しいの一言。はっきりいってこれこそジェネラリストの究極のValue Propositionだと思います。担当役員も自部門の成果をあげるために必死です。それを一歩踏みとどまってもらって別アプローチを考えてもらう...会社の究極の目標達成のために場合により一見自部門に損に映る最適解を選択してもらう.....当然戦場と化します。 この2年間数ある場面に遭遇しましたが、自信を持って貢献出来たと思うのはせいぜい4,5件位。殆どは惨敗に終わりました叫び

よく、HRがStrategic supportを提供するためには、ビジネスを深く理解し、ステークホルダーを先回りする提案が出来る必要がある という話を聞きます。ビジネスの理解はもちろん必須。ただ、先回り提案は?マーク。本当に先回りして提案なんて出来る??そんな提案まで出来てたら自分でビジネスやってるよ、という気もします。
但し、努力すれば、常に顧客が何を考えているか、何で悩み、何をプライオリティに考えているのか想像して顧客と共闘することは出来ます。そうすれば顧客のプライオリティに対しタイムリーに人事面でのプロフェッショナルソリューションを提供することも可能です。 一歩一歩。まずはここからなんじゃないかな・・・

私もまだまだ修行中の身。これから長い時間をかけて更に研鑽していきたいと思いますグー


Yassy