売買等で農地を取得したとしても、農地法の許可等が必要な場合は、所有権移転登記が出来ません。

そのため、農地法の許可等を条件とした仮登記(2号仮登記)を申請することがあります。

 

●農地の仮登記が申請された場合の法務局や農業委員会の対応

 

2号仮登記が申請された場合、法務局は、2 号仮登記された農地の所在、地番の取りまとめをおこない、その連絡票を作成し、農業委員会に送付します。

 

連絡票を受けた農業委員会は、該当の農地を継続して調査し、本登記がなされていないと判断した場合は、

 

①当該農地の所有者に対しては、次の指導をします。

 

・農地の売買は、農地法に基づく許可等がなければ、所有権移転の効力を生じないこと。

・ 農地法に基づく許可等がなければ、売買契約の締結がされていても、農地の所有権は仮登記権利者ではなく、農地の所有者にあること。

・農地法に基づく許可等を受ける前に仮登記権利者に農地を引き渡した場合は、農地法違反となり、懲役や罰金の適用があること。

・農地の所有者が耕作を放棄するに至った場合には、耕作を再開するよう指導するとともに、自ら耕作再開が困難な場合には、貸付けを行うことが適当であり、貸付けをすること。

 

②当該農地の仮登記権利者に対しては次の助言をします。

 

・農地の売買は、農地法に基づく許可等がなければ、所有権の移転の効力を生じないこと。

・農地法に基づく許可等がなければ、売買契約の締結がなされていても、農地の所有権は仮登記権利者ではなく、農地所有者にあること。

・農地法に基づく許可等を受ける前に、農地の引渡しを受けた場合は、農地法違反となり、懲役や罰金の適用があること。

・農地の転用を希望している仮登記権利者に対しては、2号仮登記を行ったとしても、農地転用許可の判断において何ら考慮されるものではないこと。

 

●仮登記による権利保全が完璧ではない件

 

農地法の許可の申請のためには、譲渡人の協力が必要です。農地法の許可を取得しないまま、ずっと2号仮登記のみで10年を経過してしまった場合、譲渡人に対して農地法の許可申請のための協力を求める請求権が、時効のため消滅してしまいます。

 

時効の中断の手続も行わず、譲渡人がその消滅時効を援用した場合、仮登記も意味をなさなくなります。

 

ただし、10年を経過してしまっても、農地でなくなった後に消滅時効の援用をした場合は、その援用の効力は生じません。