今日は日経新聞による2016/1/14付記事「パナソニック、17年3月期から新制度 事業部が自ら「増減資」」
について。MBAでも勉強するコーポレイトファイナンス的には、各事業部の評価を会計上の利益ではなく、資本コストを考慮したeconomic profitで評価することは望ましいとされているが、副作用もある。
一般論として、成熟期に入った事業部であれば、economic profitによる経営管理でうまくいくことが多いだろうが、研究開発型の事業となるとマイナス面が少なくない。事業部の責任者は己のパフォーマンスボーナスを高めるため、R&Dを削り、短期のeconmic profitをかさ上げし、長期のeconomic profitを下げることになりかねないからだ。
設備投資も同様の理由でカットするインセンティヴが働くため、既存のプロダクトやサービスが重要視され、イノヴェイションが起こって勝ちパターンが代わると、業界の構造的な変化に対応できなくなる。
記事に記載されているように、以下のようなメリットもある:
- 各事業部の責任者が業界の変化を見ながら、迅速に経営判断できるようにするため
- 各事業部の責任を明確化するため
- 各事業部に割り当てられた資産を効率的に使うインセンティヴを与えるため
てなわけで、“The devil is in the details”ではないが、実際にやってみるとなかなかうまくいかないことがある。
もちろん、代替案出せとなると、答えに窮するほかないのだが。
蛇足
- ITの力を使い、少額資本で起業できるようになると、EVA的管理は時代遅れのものになるだろう