2025年3月。春の風がそよぐ中、私の心には一つの空洞ができた。そう、E217系がひっそりと引退したのである。
「ひっそり」なんて言わないでくれ。君は湘南新宿ラインの裏で、横須賀・総武快速線をしっかり支え続けてきた。地味だけど、いぶし銀の働きっぷりだったじゃないか。
その顔、クセが強いんじゃ!
E217系といえば、まず顔面インパクト。なんだあの…こう、妙に愛着が湧く、でも初見では「うーん?」ってなる、あの前面デザイン。
ええ、ええ、わかってます。あの“なんちゃって貫通扉”。貫通できないのにあるフリするやつ。鉄道ファン界隈では「黒歴史」として扱われてきたけど、私はあえて言いたい。
「その偽りの扉に、男のロマンを見た!」
実際、何度その“開かずの扉”に未来への旅路を妄想したことか。あれが本当に開いて、次の車両に行けたら…とか、ね。いやポエムすぎるw
鉄仮面バージョン、あったなぁ
忘れちゃいけないのが、例の“鉄仮面”仕様。あれはもう、完全にロボット系アニメの敵キャラ。最初見たとき「この車両、変形するんじゃないか?」と心のどこかで思った人、正直に手を挙げてください。
でもあの仮面、なぜかE217系のアイデンティティとして刻まれてる。あれがあったからこそ、E217系が“顔で語る”存在になったのは間違いない。
ボックス席、あれは旅の味方だった
E217系のボックス席。アレがあるだけで「ただの通勤列車」から「ちょっとした旅行感」にグレードアップするから不思議だ。
特に学生時代、千葉から横須賀線で青春18きっぷ片手に旅をした思い出。あのボックスでコンビニおにぎりと麦茶を広げた瞬間、「旅行感、爆誕」である。
しかもこのボックス、全然観光列車じゃないのに、意外と快適。家族連れやカップル、時には酔っ払いのおじさんまで、さまざまな人間ドラマが展開されていた。車内はまさに「動く人間交差点」。
最後に一言、ありがとう。
E217系、君は決して派手じゃなかった。でも、その「ちょっと惜しい感じ」が、私たちにはたまらなかった。
どこか間の抜けた前面、微妙にグラつくボックス席、でも頑張ってきた年月…そのすべてが、君の魅力だ。
引退のニュースに「え、もうそんな歳だったの?」と驚いた人、多いと思う。だけど、君は立派に働ききった。お疲れ様。そしてありがとう。
次にE235系に乗るとき、どこか物足りなさを感じるのは、きっとE217系のせいだろう。
それだけ、君は私たちの心の中に、深く刻まれているんだ。