パトロール
「こちらカンケイ四
R一九五より四一五
三三六どうぞ」
「三三六は匹四一 ごくろうさん」
人々の寝静まった夜の町を
一人でパトロールする
ある男は
十六万円だましとつて逃げた
ある男は
仕事がとれずにやせこけて
逃げて行つた
ある男は
二十五も歳下の娘をかどはかして
逃げて行つた
九州から迷ひ込んだ者
星空の下で
すつかり人を信じなくなつて
たゝ がむしゃらに
アクセルをふかしこむ
「四一三 R二二
四一六ありませんか?」
「四一六ありません」
「了解 これよりRO二三 R一〇〇
及びR二〇三へ P一に向ひます どうぞ」
「カンケイ本社了解
二〇〇でよろしくどうぞ」
一夜中走ると
あるいは解るかもしれない
"末永く仲良う付合ほうな"
"兄ちゃんは間違あらへん
信じとるねん"
"いや保証人だけは
誰から頼まれても断つてゐますよって"
まもなく四十になる男
五十 七十 九十 百 !
田舎道は
星の中で途切れてしまう
もう きくまい
力まかせに警棒を振り回すと
星が一つ落ちて来た