東日本の大震災から16日が経ちました。被災地では厳しい冷え込みが続いており、避難生活を送る方々はどんなにつらいことかと思います。
福島第1原発は懸命の復旧作業が続いているものの、施設内の放射線量が高く、作業員3名の方が被曝するという事故も起きています。
また、空気中、水、原乳、農作物、海水にも放射性物質が検出され、その安全性とさまざまな影響が心配されています。
放射性物質の一つ、放射性ヨウ素(ヨウ素131)は、体内に入ると甲状腺にたまりやすく、甲状腺がんなどを引き起こすと言われています。
甲状腺からは人間の成長や基礎代謝に必要な甲状腺ホルモンが分泌されており、ヨウ素(ヨウ素127)はこの甲状腺ホルモンに必要な元素。
放射性ヨウ素はこのヨウ素と化学的に性質が似ているため、甲状腺に集まりやすいのです。
特に、成長期にあるお子さんは、甲状腺に放射性ヨウ素の影響を受けやすく、注意が必要です。
安定したヨウ素(ヨウ素127)が体内に充分あると、放射性ヨウ素は身体に取り込まれにくいと言われています。
この安定したヨウ素は海藻や魚に豊富に含まれています。特に、昆布(240,000μg *)に多く含まれているため、これを食べることをおすすめします。
昆布の他の海藻でも、ひじき(47,000μg *)、わかめ(カットわかめの場合、8,500μg *)もいいですね。のりも良いと思います。
また、お料理でだしをとった後の昆布を捨てず、細切りにして、お肉を少し加えて油で炒めたところに、酢とおしょうゆを入れると美味しい一品になります。(昆布を油で炒めるとヨウ素の吸収率がアップします。)
ただし、昆布を急にたくさん食べたからといって、薬(安定ヨウ素剤)と同様の即効性はありません。
昆布は食べ過ぎると下痢気味になるので、胃腸の弱い方は気をつけなければいけません。お子さんの食べる量もほどほどが良いでしょう。
また、ヨウ素は過剰に摂取すると、甲状腺機能の低下などさまざまな症状が現れます。
食べ物でヨウ素を摂取する場合、ゆるやかに効果が持続するのが特徴。
日頃から昆布など海藻類を食事に欠かさないことで、放射性ヨウ素から身を守る予防策になると覚えておきましょう。
*『日本食品標準成分表2010』による、可食部100gあたりの含有量。
1μg(マイクログラム)は、1gの百万分の1。