今日は祭りがあるらしい。
と、その前にエブリイバンの整備が始まる。
オイル交換が済んだら次はタイヤ回りのチェック。
と、前輪のタイヤハウスの奥に小さなツマミを発見。
好奇心に駆られて触ってみたのがいけなかった。
ツマミを少し捻ると車が勝手に動き出した。
慌ててツマミを戻すと、前進してたのが今度は後退し始める。
微妙な操作でツマミを右に捻ったり左に捻ったりするが、
前に行ったり後ろに行ったりと埒が明かない。
そんなこんなで四苦八苦してるとフロントパネルと前輪部分が外れる。
後ろだけ置いて前の部分だけ動き続ける。
ようやく動きを止めたところで娘がいることに気付く。
「後ろの部分持って行かれたよ」
――何だって?
祭りの会場を通り抜け、河川敷の広場でエブリイバンの後ろを発見。
トラックに積み込みしているところだった。
――俺の車返してもらおう。
窃盗団は渋々返すという。
当たり前だ。俺の車だ。
困ったのは車の運び屋だ。
業者を雇っていたらしい。
日当は俺が払う義務はない。
窃盗団にでも請求するんだな。
娘と祭りを堪能するはずが飛んだ一日となってしまった。
祭りの会場を再び通り抜ける。
今度は格闘技馬鹿が現れた。
俺に関節技を仕掛けてくる。
左腕が決められてうまく動かない。
――参った。俺の負けだ。
散々な目に遭って職場に戻ると上司がいた。
格闘技馬鹿の話をすると、
「利き腕に比べて左が貧弱すぎるんだよ」
確かにそうだ。
俺の左は極端に弱い。
――左の強化をするよ。
ってな訳で左腕の筋トレをすることになった。