この日のメッセは いつになく 盛り上がった。




内容は 他愛のないことなのだが


お互いに 楽しいと思える時間だった。






お互いに・・・    は 少し違う。


彼は   の間違いかな。







私は 心の変化が だんだんと明確になってきた。






彼を嫌いになったわけではない。


今でも 誰より一番愛している。





ただ・・・





執着しなくなった。





彼のずるさが 許せなくなったのかもしれない。


彼の嫌な部分が 見て見ぬフリ 出来なくなったのかも。。。





当たり障りのない会話を続ける事で


私達の関係は 成り立っているように思えた。






このまま 会わない日々が続いて


メッセとメールだけの関係で


私の気持ちが 彼の元に戻る日が 来るとは思えない。






早く会いたい・・・会いたいのに・・・。





彼は 気付いていない。






メールの数は 日増しに増えていった。


メールと共に始めた メッセンジャーでも 会話が途切れる事はない。




どんな話も 新鮮だったし


どんな話も 楽しかった。


私の知らない 今までの彼を 全部知りたい気持ちにすらなった。



時折 不安になることもあった。


毎晩遅くまで続けるメッセンジャーや 膨大な数のメールのやり取りに


「こんなにやってて 家族は不審に思わないだろうか?」 と。


正直 申し訳ない気持ちにもなった。




その頃から彼は  会いたい みたいなことを言うようになった。


もちろん 私も その気持ちはあった。


でも やはり彼は家庭のある身。


これ以上 気持ちを高ぶらせてはいけないと


自分に言い聞かせていたところがあった。


私にとっても 彼にとっても この恋愛を続けるのは 


悲しい結末を迎えるという事を 頭の中ではわかっていた。




でも このままで いいはずはない。


彼も私も 気持ちが 日増しに高ぶっていることを とっくに知っている。


私は考えていた そう



「なんとかしなければ・・・」 と。



その時の私は 何よりも  彼を失いたくない という気持ちだけだった。


たとえ友達でもいい  彼との関係を断ち切りたくない と。


それくらい 彼と私は 引き合っていたのだろう。




ある日  所用で  出かけることになった。


平日に 出ることのない私は  すぐひらめいた・・・。



「もしかしたら 彼と会えるかな?」



1時間くらいしか いられないけど それでもよかったら・・・と


そう考えると すぐ彼に  メールした。




彼は 快くOKしてくれた。



会えるという気持ちで  いつも以上に心が浮き足立つ。


でも・・・ その時点になっても まだ私は 


彼と友達に戻れるだろうか? と考えていた。


失いたくないと いう気持ちが 強すぎる・・・怖いのだ。


彼をもう 友達だと思えない心と  


彼を失いたくないから 友達に戻りたいという心が


ぶつかってばかり・・・。




待ち合わせの場所に   少し早めに着いた。


その日は寒く  川沿いに吹く風は  私に


頭を冷やせ!冷静に考えろ! と 説き伏せるかのよう・・・。


待つのは嫌いじゃない  その相手が 好きな男なら なおさらだ。


でも今日は違う・・・ 私は 選択しなくてはいけない 辛い選択を。



予想以上に 彼は早くやってきた。


まだ 頭の中で答えがまとまってないのに・・・。


でも、彼の顔を見て 何だかホッとした自分がいた。




川沿いでずっと 他愛のない話をしていた・・・


きっと お互いが お互いの胸の内を 探っていた気がする。




ふと 彼の手を見て  何気なくふれると 冷たくなっていた。


この寒空の中 手が冷たくなるのも 当たり前なのかもしれない。


でも 私はその時 違う事を思った。



温めてあげなくちゃ・・・



もちろん 手だけの事ではない。




ふと 堰を切ったように 彼が話した。


自分の今の立場や 感情 いろいろ・・・・・。


もう 何を話していたか 一言一句覚えてはいない。


ただ私が その時感じた心だけは ハッキリしている。



ずるい人・・・



でもね 私はその「ずるい人」 の 恋の片棒を担いでしまった自分に気づいた。


決定的だった その一言




「男は 一生のうち 3回 モテ期があって  あなたが その3回目・・・」







改めて言う


これは 私にとって 不本意な恋愛だ。


相手がいる男性・・・まして 結婚している男性など


私にとって 恋愛の対象となりえるはずもなかった。


彼には 家庭という 何ものにも変えがたいものが あるにもかかわらず


私の心まで しっかり掴んでしまった・・・。


でも あの日以来 彼と会話をする時間を持つたびに


感じることがあった。


それが ハッキリとわかるのは もう何日か先だったが・・・




私は 彼の考えていることが わかる。


思っていることが 自分の事のように感じる時もあった。


似ている・・・ そうだ 似ているのだ。


彼と私は 心の構造が きっとすごく 似ているのだ。



それに あの一言で 私の心の中の答えは ハッキリ決まっていた。





「もしこの言葉が ウソだとしても 私はこの人の 最後の女になりたい。。。」





彼に初めて抱き寄せられ  心がどんどん 痛くなっていく。


その痛みは 辛いけど 甘い・・・。


彼の家族の事を忘れたわけではない。


ただ もし 神様がこの世にいるのなら


少しの間 彼と私に 一生忘れられない思い出を作ることを お許し下さい。


どうせ いつかは終わらせないといけない恋なのなら


今は お互い この感情を 通わせあう ほんの少しの時間を下さい。




そう心に願いながら  彼とキスをした。




川沿いの風は 私達に冷たかったが


彼と心を通い合わせた事の温かさに 私は酔っていたかも知れない。


人が見ていても もう構わなかった。


何度も何度も キスをして 


私達は お互いをもう 友達だとは思えない事を確認した。



今は 自分の気持ちに 正直でありたい。


やがて 訪れるであろう 別れの日が とても辛いものだとしても・・・。





運命の糸で結ばれる そんな事がもし 本当にあるのなら・・・。





この恋に 陽の当たる場所があるとすれば このブログだけ。


それでもいい  はじめてしまった恋だから・・・もう引き返せない恋だから・・・


誰にも見守られない 誰からも祝福されない


でも 心は どこまでも真剣で純粋で


そんな自分を かわいそうだとは思いたくなくて・・・


彼との事を 綴っていきたくなりました。


どうか皆さま いろんなご意見がおありかと思いますが


これも 1つの愛の形と捉えて お読みいただければ 幸いです。




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彼を初めて知ったのは 昨年の秋 仲間が集まる 飲み会で。


その時は 特に何かを感じたわけでもなかった。


そのうち宴が続く中 初対面だった彼とも お話しすることができ


いろんな事を 熱く語る 面白い人だという印象を持ち始めた。



後日 彼のブログを 読む機会があった。


とはいえ じっくり読むという感じではなく 目に付くものだけ 読んでみた。


家族の事や 自分の事 いろいろ・・・ 


ちょっぴり 人となりがわかった気がした。





当時 私は 付き合った元彼と別れたばかりで 


恋とは少し 距離を置いていたような気がする。


だからこそ 家庭を持った人と 駆け引きの無い 普通の会話が 


心地よかったのかもしれないと


今になっては そう思う。




その後 彼と会うことは なかった。


飲み会はあったものの 私は欠席だったり 彼が欠席だったりで、


そうこうしている間に 年も明け・・・




再び 飲み会にて 彼と再会する機会がやってきた。




この時もまだ私は  やがてやってくる 苦しい恋の予感に 気付くはずもなく・・・。





やはり 飲み会の席で 彼と話す機会があった。


前回よりも もっとたくさん 話していたかもしれない。




帰りの電車で偶然二人 一緒の電車で 隣同士に座り 彼の横顔を見た時


何だか・・・こう 言葉には言い表せない 胸の苦しさを感じた。


なぜなのか・・・? 今でもその時の衝動を 説明する事はできない。


その日私は かなり酔っていたのもあり 


気がつくと 彼の肩に寄りかかっていた。


彼にすれば 一体何なんだ! といった感じだったかもしれない。


でも その時の私は 本能で そう動いていたような気がする。


ふと 肩から顔を離すと こちらを向く彼と 目が合ってしまった。


再び襲われる 胸の苦しさを どうしていいのか わからなくなり




彼の目に吸い込まれるように  キスしてしまった  私から・・・





彼の 戸惑った顔が 今でも忘れられない・・・。




おもむろに 彼の口からついた 「家に行っていい?」 の言葉に


ハッと我に返る・・・。


頭の中によぎったのは 


「彼には家庭がある」 「彼は家庭を大事にしている」 だった。


彼はきっと 突然の行動に 我を失っての発言なんだ。


このまま彼を 自宅へ連れ帰るわけにはいかない・・・。



私は 彼を車内に残し 電車を降りた。



自宅までの道のりで だんだんと不安が頭を占領する。


「彼に嫌われたかもしれない・・・」


まだ 2回しか会っていない  友達になったばかりの女に


酔った勢いとはいえ キスされたら


軽はずみな私の行動に 家庭を大事にする男性なら 


誰だって 不快に思うだろう。




でも 私は 今でも あの行動が 『必然』 だったと思っている。


そうしたかったのだ・・・ まさに本能だったし


あの行動を うれしく思ったのだ・・・漠然と。



でもそれは 私の気持ちであって 彼の本意ではないかもしれない。




どうしよう・・・ 私はこの人に 嫌われたくない・・・



電話番号も メールアドレスも知らない。


彼に 言い訳する事も 謝る事もできない。


絶望的な気分を引きずりながら それでも時間は過ぎていった。





翌日 何気なく開いたPCに 見なれないアドレスが・・・彼だ!


内容は 無事帰宅した という ごくシンプルなメール。


帰宅して すぐ送ってくれたんだという事がわかった。


気付かなかった自分が くやしい・・・。




もちろん 読んですぐメールした。


無難な やっぱりごくシンプルな内容で。



そこに 追伸を添えた



私は 心配だった・・・ そして知りたかった。


彼が あの出来事を どう捕らえているのかを。


「あなたの心を乱してしまったのなら 謝ります 


でも私は とてもうれしかった」 と 文末に。





彼からの返信は早かった。


またもや 無難な内容・・・ でも 追伸に


「謝らなくてもいですよ  私もうれしかったですから」 と。


うれしかった  の言葉に  胸の痛みを また感じた。


今考えると それを 恋だと感じるまで さほど時間はかからなかったかも・・・。





何回かのやりとりの後  お互いの 携帯のメアドを交換してから  


二人の距離は 一気に加速していった・・・。