ノーベル賞受賞者を輩出するなど、輝かしい歴史を残してきたGeneral Collegeですが、今年の6月、理事会によって閉鎖が決定されました。今日はその決定に至るまでの話です。


この話は直接的には、昨年の夏にまで遡ります。


昨年の夏、ミネソタ大学の学長が、ミネソタ大学を世界でTop3に入るPublic University するという意思を表明し、そのための改革に乗り出しました。彼は教授とスタッフからなる特別調査委員会を2つつくり、それぞれに大学のAdministrationについての改革案、そしてもう一つには大学の学部の再編についての改革案を提出するよう命じました。そして委員会は今年の4月にその改革案を学長に提出し、学長はそれを自身の改革案として5月に理事会に提出しました。この改革案は全部で31の提案がありましたが、その中の一つに、General Collegeの閉鎖が盛り込まれていたわけです。


General College閉鎖の一番の理由、それは、General Collegeが大学の質を下げているということでした。彼らが特に気にしたのは、US News and World Report  で毎年行われる大学ランキングでどのような順位に入るかということであり、この順位を上げるためには、General Collegeに入ってくるような学生を受け入れることは出来ないということでした。


US News and World Reportがランキングを決める際、様々な指数が考慮されるのですが、その中の一つに、大学がどのような学生を受け入れているか、ということがあります。これは例えば共通テストである、SATやACTの平均スコア、また学生の卒業率、そして中退率、などが挙げられます。当然のことながら、General Collegeの学生は、平均スコアと卒業率は他よりも低く、中退率はかなり高くなってしまうわけです。例えば、ミネソタ大学の他のカレッジの新入生は、2年目には約86%戻ってくるのに対して、General Collegeはこれが75%にまで落ち込みます。また、ACTの平均スコアは、ミネソタ大学の平均で25、しかしGemeral Collegeは19になります。


今回の提案は、このように「ミネソタ大学の教育の質を下げている」General Collegeを、カレッジから降格して、学部(Department) にし、College of Education のもとに併合するというものでした。これに伴い、予算はこれまでの25%、スタッフもそれに伴って解雇されることになります。但し、教授だけはテニュア があるために解雇をすることは出来ません。一方、学生たちは一体どうなるのか。大学トップのアドミニストレーター達は、彼らはコミュニティカレッジに行けばよい、と述べています。


そして、この改革案は6月、11対1という圧倒的大差で理事会で可決され、正式にGeneral Collegeの閉鎖が決定しました。


今回の一連の話、表面だけを追うと今述べたような話なのですが、関係者の間では様々な憶測が飛び交っています。例えば、今回の改革案が成立するにあたって、General Collegeの関係者は誰一人として関わることを許されませんでした。General CollegeのトップのDeanさえ、改革案を見せられたのが、大学から正式に発表される1日前でした。


また、理事会での圧倒的多数での可決も、不思議の一つです。実は、General Collegeの閉鎖の話題が出たのは今に始まったことではなく、過去にこれまで何度となく、General Collegeの閉鎖が理事会の議題に上ったことがありましたが、しかしその度に理事会はその案を退けてきました。


舞台裏では一体何が起こったのか、または時代そのものが変わったのか、それは部外者には知る由もありません。政治的なものが絡んでいる、という噂もあります。おそらく両方であろう、と個人的には思います。


本当にこの決定が正しかったのか、今の時点ではわかりません。ミネソタ大学は約2000億円の予算があり、General Collegeにはそのうち約10億円しか配分されません。それでも世界Top3を目指すならば、仕方のない決定だったのかもしれません。


しかし、ミネソタ大学はただの大学ではなく、Land Grant University なわけです。州の発展のために、様々な人に教育を提供することを求められているわけで、General Collegeはそのミッションを忠実に守ってきたわけです。今回のこの理事会の決定は、そのミッションはもはやミネソタ大学にとっては不必要ということを意味します。


そもそもTop3の大学とは一体何を意味するのか。

ミネソタ大学は一つの大事なコアを失ってしまった、そう思わずにはいられません。