柏市連続通り魔殺傷事件とは、2014 年 3 月 3 日に千葉県柏市の路上で、通りすがりの女性 や男性に声を掛け、うち男性 1 名を刺殺、もう 1 名の男性には左手に軽傷を負わせた連続 通り魔事件です。 この事件を巻き起こした犯人のインパクトが非常に強かった為に、記憶に残っている方も いるのではないでしょうか? この記事では、事件の詳細と、犯人の異常性についての一面も解説していきたいと思います。
・柏市連続通り魔殺傷事件の概要
事件が発生したのは、2014 年 3 月 3 日 23 時 30 分ごろ。
場所は千葉県柏市の市道でした。
犯人の名前は竹井聖寿(たけいせいじゅ)といいます。 事件発生当日の夜、竹井が最初に声を掛けたのは、事件現場近くに住む 20 代女性でした。 23 時 34 分、2~3 メートル離れたところから竹井に穏やかな口調で声を掛けられた女性は、 帽子とサングラス、マスクで顔を隠した竹井に危険を感じました。 右手を黒い上着の中に完全に入れていた竹井を見て「ナイフを持っている」と思った女性は、 自宅マンションまで走って逃げ、その後事件を目撃・警察に通報しています。 次の被害者は自転車に乗った 25 歳の男性で、竹井と争った際に左手に軽傷を負いました。 23 時 35 分頃、自転車で走行していた男性は、前方にいた竹井に呼び止められます。 男性は自転車を跨いだ状態で停止させ、どうしたのか尋ねると、男性の胸元にナイフを突き 出されます。 竹井に「こっちに来い、何かしたら殺す」と言われた男性は、すかさず自身の左手で竹井が 持っているナイフを逆手で掴み押し倒し、その隙をついて自転車で逃げ、そのまま警察署に 駆け込みました。
自転車に乗った男性が逃げた直後、31 歳の会社員男性が竹井に襲われ刺されている様子が、 現場を通りかかったタクシーの積載カメラに記録されています。 竹井と会社員の男性は揉み合うようにしてタクシーの前に現れると、竹井は男性の右腕を 抑えた状態で持っていたナイフで何度も男性の身体を突き刺しました。 竹井は執拗に首や背中を何度も刺した後、会社員男性の持っていた財布入りの手提げバッ クを強奪しています。 その後病院に運ばれた会社員男性でしたが、搬送先の病院で亡くなりました。死因はナイフ で首・背中を複数回刺されたことによる失血死でした。
23 時 40 分頃、停車中の車に乗っていた 44 歳の男性は、倒れている人が見え警察に通報し ていました。そこに竹井は近づき、車のタイヤをナイフによってパンクさせます。 この男性は「金を出せ、もう人を殺している」と竹井にナイフを向け脅され、財布を奪われ
ています。車で逃げようとしますが、発進させられませんでした。
23 時 41 分頃、車を運転していた 47 歳の男性は、路上にと倒れ込んでいた会社員男性に気 付きます。 この男性は、倒れていた会社員男性を救助する為に運転していた車を停車させ、車から下車 して会社員男性に駆け寄りました。 男性が車から降車した隙をついて、竹井は男性の車に乗り込み、車を強奪しようとします。 何者かが自分の車に乗ったことに気づいた男性が急いで車に戻ると、竹井は大声で男性を 威嚇するとともに、所持していたナイフで脅し、車を奪い現場から逃走しました。 犯行時間はたったの 10 分と短く、更には僅か 50 メートルほどの範囲で発生した事件です。 この 10 分ほどの間でこれだけの人達が犯人に声を掛けられたり、刃物で脅されています。 防犯カメラの映像によると、奪われた車は日付が変わった 3 月 4 日深夜 0 時頃に事件発生 現場から 1.5km ほど離れた柏市内のコンビニに現れ、竹井は車に乗車したまま数分間駐車 場にとどまっています。 強奪した車をコンビニの駐車場に停車させた竹井は、数分間車中にとどまった後に、車から 降りて徒歩で立ち去っていることが防犯カメラの映像により確認されました。 ちなみに警察が奪われた車を発見したのは 3 月 4 日の午前 3 時頃で、発見時車のエンジン はかかったままの状態でした。 この後竹井は、徒歩でホテルへ向かい朝方まで滞在したようです。 ホテルの枕カバーの中に、事件で使用したナイフや血痕が付着した衣類を隠し持ち、3 月 4 日の早朝にホテルからタクシーに乗り、自宅へと帰宅しています。
・事件後から逮捕までと奇行の数々 その後の竹井は、事件の目撃者を装い堂々とマスコミのインタビューに答えるなどしてい ましたが、盗難車を放置したコンビニの防犯カメラの映像から犯人であることを突き止め られ、2014 年 3 月 5 日に逮捕されます。 警察が竹井に任意同行を求めたところ竹井は「チェックメイト」とつぶやいたといいます。 また、自宅前に集まっている報道陣に向けて「ヤフーチャット万歳!」と叫んだり、中指を 突き立てる・親指を下に向けるなどここでも奇行が目立ちました。
・犯行動機と考察 竹井が事件を起こした理由については、チャット内での人間関係が影響していたといわれ ています。
事件直前の頃の竹井の交友関係は、チャット仲間に限られていました。 インターネットに依存していた竹井ですが、そのチャット仲間たちからも数々の奇行によ り浮いた存在となっていました。 そのため、仲間たちに振り向いてほしいという気持ちが、大事件を起こせば周囲を見返すこ
とが出来るといった発想に繋がってしまい、凶行に及んでしまった、というあまりにも身勝 手過ぎる犯行といえます。 実際に事件直前には、チャット仲間に「大きいことをおこす」と予告していたそうです。 通り魔事件では事前に準備を緻密に行い、実行するパターンが多いのですが、この通り魔事 件では、ナイフ以外の武器を用意しておらず、逃走手段もその場にあった車を奪って逃走し ていたりと、かなり行き当たりばったりで行動しているようにも思えます。 事件の詳細からは竹井のすぐにカッとなって暴れだす性質や、かまってほしくて思いつい たことをやるという性格が垣間見えており、劇場型犯罪と呼ばれるタイプの犯罪に近いこ とがわかります。
・幼少期からの異常性
僅か 10 分足らずで死傷者 2 名を出した上、車や金品を強奪し逃走した竹井聖寿。 竹井は小学生の頃から異常な残忍性を見せていました。 同級生をコンパスの針で刺したり、猫やウサギを殺すなど、普通では考えられない行動をし ていたようです。 また、ナイフやスタンガンを所持しておりそれを見せびらかして自慢していることもあり ました。
14 歳の時には傷害事件をおこし少年院に入所、出所後も再度問題をおこし 18 歳の時には 二度目の少年院入所をしています。 こうしたいきさつもあってか、周囲からは浮いた存在となり、中学時代には三回の転校を繰 り返しています。 このような異常行動が多く幼少期の頃から両親も手に負えない状態となり、見放されてい たようです。
竹井自身も「両親とは不仲」と家族との関係を話しています。
・竹井の心の闇 前述の通り事件直前の頃の竹井の交友関係は、チャット仲間に限られており、インターネッ トに依存していました。
竹井は、ニコニコ動画でライブ配信をしていました。 ここでも武器マニアであることや、動物を虐待した過去などをプロフィールで紹介し、ナイ フなどを自慢する動画や、自身を切りつけたり覚せい剤を使用する様子を晒すなどの異常 性を見せています。 チャット仲間の一人は竹井の印象について「基本的に居場所がなくて、ものすごくコンプレ ックスが強い。省かれることに対して敏感だった」と語っており、小学校時代から同級生な どに攻撃的な行動を取ったり、キレて暴れたりするのはそうした疎外感から起きたものだ ったかもしれません。
そして周囲から浮いた存在であった時期が長く、仲間はずれにされることに対して異常に 敏感になっていたともいえます。 また、凄惨な犯行の手口や逮捕時に意味不明なことを叫ぶなどしていたため、精神的な病を 疑われていました。 逮捕後に竹井の精神鑑定を担当した医師は「竹井の行動や発言には統合失調症の症状に多 く当てはまっていた」と述べており、竹井に精神的な障害があったことを認めています。
・裁判
竹井聖寿は裁判で無期懲役が確定しました。 竹井は両腕の入れ墨を誇示するかのように白いタンクトップ姿で入廷、裁判長の判決読み 上げを両手を頭の後ろで組んだ姿勢で聞き、尾崎豊の曲を歌い続けました。 この不適切な行動で竹井は一旦退廷させられ、開廷が遅れました。 竹井の拍手が法廷内に響き渡ったかと思えばさらに検察官に向かって中指を立てると「こ れでまた殺人ができるぜ。悔しかったら死刑にしてみろ」と叫びました。 この状態で、今後正常に社会復帰をすると考えることは難しいでしょう。
・おわりに 今回竹井聖寿の両親との関係や生い立ちなどを見てみると、成長過程でおかしくなったと いうよりも、元々幼少期から精神的な疾患に問題のあった要注意人物であったということ が事実といえます。 竹井自身も周囲から避けられる人生を送っており、「人から注目を浴びたい 」「もっとかまってほしい」という欲求が異常な行動に拍車をかけたようにも感じます。 その鬱憤や焦りが爆発したのが、今回の事件を引き起こした理由の一つではないでしょう か。 幼少期から精神的な問題を抱えていることが明白であったので、早い段階でしかるべき対 応を行っていれば、何の罪もない被害者が出なかったと思うと悔やまれて仕方ありません。