海の底は青なんて色じゃない。知ることのない暗闇、その色を例える術はない。

 

目を閉じれば、空気のはじける音がする。口を開けば吐く息がぶつかり合う音がする。

 

そのうち、水面まで戻るなんて考えはなくなり、呼吸すら諦めてしまう。

 

ただ、流れる海に身体を預け、漂うだけ。何もいらない。

 

いつからだったか、記憶もままならない。全て思い出すこともなく、留めることもなく。

 

明日には、その次の日は、来週には、来月、来年、いつかは、そんな考えすら諦めた。

 

この場所は居心地が良い。生きていなくても良いのだから。

 

生きている意味も、何かのために生きる理由もないのだ。その苦痛の中で、死なずとも死ねる場所。

 

生きずとも、生きていられる。死なずとも死ねる。夢のような場所だ。

 

夢のような場所だ。

 

今日も私は、ただ眠るのだ。海を夢見て。眠るのだ。