さて、ここからはネタバレ感想・考察編です。
まず映画内容はと言うと、席の悪さも忘れるくらいストーリーに没頭しました。
冒頭から、マリがパリのエッフェル塔を敵エヴァにぶち込むという印象的なシーンからスタート。
冒頭シーンはアマゾンプライムなどで観られるので、まだの方はそちらをどうぞ♪
その後、憔悴の碇シンジは、アスカに連れられ第3村という昭和の戦後日本にタイムスリップしたかのような村で塞ぎ込むわけですが。
この農業編、長い(笑)
庵野監督自身が、自分で引き起こした”インパクト”からエヴァの続きを描けなくなってしまった時期の苦悩を、洗い流す様子を描いたようです。
とにかく、自分のせいでニアサー(この言い方も日本語っぽい略語で面白い)やフォースインパクトを引き起こした自責の念で塞ぎ込んだシンジが、人が立ち直るにはいくら周りが頑張れと言ってもダメで、立ち直るまでには時間がかかることを、時間をかけて丁寧に描いています(笑)
しかも立ち直るキッカケは、直接的には綾波Mark.09に元気付けられたことだった。
さらには、Mark.9に名前を付けて欲しいと言われたシンジが「綾波は綾波だよ」と発言していることから、クローンやロボットには既に人間の感情を動かす力があって、クローンといえどもそれぞれに個性があることを認められるという事実が、近未来の世界を予見させ、クローンも人間と認識される将来は、どんな世界になるのだろうと、末恐ろしくも興味深い描写に見えました。
ネタバレ前提なので、もうストーリーは端折りますが…
その後、ヴンダーでネルフ本部へ突撃するヤマト作戦を発動するミサト艦長。
今思えば、ヤマト作戦自体、戦艦ヤマトが撃沈されることをイメージされ、既にミサトさんが戦死することが確定していたんだなと思うと切ない限りですが。
最後に、往年の長い髪を振り乱す姿が見れて、14年経っても美魔女健在の姿を拝見することが出来たのは嬉しかったです。
無事、加治さんとヨロシクやっていた結果、子どもが出来ていた事も本当に気持ちが救われます。
言ってみれば、今回の完結編は旧作で救いきれなかった人物たちを見事なまでに救い出して完結させています。監督自身も闇を抜け、自分をも救い出したみたいです。
主題歌の"One Last Kiss"も、シンエヴァンゲリオン劇場版:||のストーリーそのものを表したかのような曲でした。
ただ思い出してみれば、泣くシーンはなかった。しかし、観終わった後の読了感は非常に清々しかった。本田△風に言えば、きよきよしかった。この夜←とにかく、これで本当にエヴァは終わりなんだというほんの少しの寂しさを残して。
逆に言えば、庵野監督は日和(ひよ)っちゃったのかなぁ、とさえ思う終わり方であった。
結局、碇ゲンドウはユイに会いたかっただけ、というオチは、ここまで色々やってきて流石にそれは思い付くよーというありがちなものであった。
人を捨ててまでアディショナルインパクトによって人類補完計画を完遂しようとしていたゲンドウは、もう少し高尚かは分からないが、人智を超えた神たるアダムに近づきしリリン(人類)の王であって欲しかった。
AIや遺伝子工学の進歩によって、人類が半永久に近い命の入り口に触れようとしている今、人類が永遠の生命を手に入れるという結末であるなら、それはそれで受け入れて見届けようという思いがあったのだ。
まあとは言え、基本的なストーリーは旧作から変わったというわけではなかった。
タイトルの最後に含まれる:||は、音楽記号で「繰り返し」の意味であるが、個人的にはもう続編はないと結論付けている。これは続くという意味ではなく、シンジがガイウスの槍という再生の槍によって、新世紀を創り出したことで、世界は繰り返すという意味であると考える。
それによって生まれた新世紀の宇部新町駅で、カヲル君はレイと、シンジはマリと恋仲になり、某スーツショップのフレッシュマンセールのCMよろしく駆け出すシーンで終わるというシナリオは、新世紀になる度に書き換えられる新世紀なのだろうが。
監督の地元を聖地とするとは、とんだ地元還元の町おこしである
よくよく考えれば、マリとシンジがくっつくのは、シンジの母世代のマリとその子ども世代のシンジが付き合うというヤバイ年の差なんだが(笑)まあチルドレンである彼らは年齢が止まっていたので年の差はないと考えれば納得できることになる。
イスカリオテのマリアであるマリは、好意を寄せていた碇ユイの息子の文字通り、聖母というような存在となったのかもしれない。
アスカも、ケンケンという実は良い男を見つけてよかった。昔はシンジと好き同士だったと打ち明け合ってポッとなるシーンも、恥ずかしさの概念を持たないいわばクローンであった式波から、破れてビリビリのプラグスーツ姿に恥じらいを感じる惣流に変化した姿も良かったし、昔はシンジの恋人として、今は母親としての目線になってしまったという描き方も、非常に現実的で的を射ていて秀逸だった。
それでもやっぱりシンジはアスカと結ばれて欲しかったという思いはあるが、今まで報われなかったマリにスポットライトが当たったのは、おめでとう。
父に、ありがとう。
母に、さようなら。
そして、すべての子供達におめでとう
最後はTV版のエンディングになぞらえてお後がよろしいということで・・・
終劇
これで本当に終わりなんですね、寂しい限りですが…
予告編がなく、物語の完結の時にしか表示されない「終劇」の文字を見て、ああ、本当にエヴァが終わったんだということをようやく実感しました。
でも、庵野監督もオタクたちに「現実に戻れ」というメッセージを、今度こそキレイな形で示した以上、自分も強く現実を生きていこうと改めて思いました。
では、またいつかどこかでサービスサービス♪できることを願ってー
今日もエヴァエヴァっと私が補完したわ!