パトリシア・ハイスミスのトム・リプリーシリーズの3作目「リプリーのゲーム」をヴィム・ヴェンダース監督が脚色した犯罪ロード・ムービー。今年亡くなったドイツの名優ブルーノ・ガンツとアメリカの個性派俳優デニス・ホッパーの共演で、哀愁たっぷりに描かれた二人の奇妙な友情の物語。

米国人詐欺師トム・リプリー(D・ホッパー)は、死んだはずの画家の贋作で儲けている。ハンブルグの競売場で額縁職人ヨナタン(B・ガンツ)に色使いが怪しいと見抜かれる。
白血病で死の不安を抱えるヨナタン。彼を殺人に巻き込み完全犯罪を目論むトムとの危険な絡みは、孤独な寂寥感漂う奇妙な友情の誕生となる。

自身もフランス人医者役でカメオ出演?しているこの映画、実はWWが敬愛する映画監督が複数登場しているのだ。ニコラス・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミット、ペーター・リリエンタール、ジャン・ユスターシュ。

「私の真の友人はこの人たちの方ですよ」とばかりに、ラスト殺人鬼と化すリプリーと対峙する役どころにあえて本職ではない名映画監督をキャスティングしたところに、WWの遊び心が感じられる1本。

日本と同じ敗戦国であるドイツが、アメリカという気のふれた友人(同盟国)にふりまわされ、狂った戦争に付き合わされ困惑する。もしかしたら、本作の中にはそんな寓意を探すことができるかもしれない。

アメリカの友人