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国際派日本人養成講座よりの転載です。

http://blog.jog-net.jp/201512/article_3.html


国民の幸せを目指す「経済民本主義」。

■1.失業、倒産、自殺の画期的な減少

 例のごとく、一部の偏向マスコミは安倍政権の功績についてなるべく語らないようにしているようだが、以下の指標では、日本経済は着実に良い方向に向かっている事が見てとれる。

(1)失業率

 民主党政権時代の3年間の単純平均で4.66%だったのが、安倍政権の直近3年では3.75%。特にこの10月は3.1%と、20年3ヶ月ぶりの低水準となった。[1]

 就業者数で見ると、民主党政権下の平均628万6千人が安倍政権下では634万人と5万4千人も増えている。働ける意欲も能力もあるのに仕事がない、というのは人生の不幸の一つだが、そういう不幸な人が5万4千人も減っているのである。

(2)倒産件数

 企業の倒産件数は平成3(1991)年に1万件を突破し、多い年は2万件に迫る勢いだったが、安倍政権下の直近3年では平均9,907件(平成27年は上期データから年間推定)と1万件を割った。特に平成27年上期は25年ぶりの低水準を達成した。企業が倒産して路頭に迷う人が大きく減っている。[2]

(3)自殺者数

 年間自殺者数は平成9(1997)年のバブル崩壊の翌年に急増して3万人を突破し、以降、15年間も3万人台が続いていた。しかし安倍政権下の直近3年間(本年は10月までのデータから年間推定)で平均2万5653人と大台を割った。年間5千人規模もの人々が自殺という不幸から逃れている。[3]

「経済」とは、もともと「経世済民」の略であり、「世を経(おさ)め、民を斉(すく)う」という意味で江戸時代から用いられ、特に明治以降は“Economy”の訳語として定着した。

 経済指標としては株価やGDPなどが用いられることが多いが、「世を経め、民を斉う」という目的から見れば、失業、倒産、自殺というような指標の方が、国民の幸不幸を直接あらわしている。これらの指標を見れば、安倍政権は国民の幸福のために、画期的な成果を挙げている事がデータで示されている。


■2.外国資本の植民地となった韓国

「経世済民」という観点からの反面教師は、お隣の韓国だろう。

 自殺率で見ると人口10万人あたり33.5人と世界トップレベルで、日本の1.5倍ほどにも達する。基礎老齢年金が日本円にして1万円にも満たないので、困窮した高齢者層の自殺率は、10万人あたり81.9人と日本の4倍以上だ。

 2011年に韓国の男女932人の会社員を対象に行われたアンケート調査では、76.1%が「移民が可能であれば、韓国を離れたい」と回答した。理由として多かったのは、「不十分な福祉政策」(62.5%)、「貧富の差」(49.5%)、「深刻な失業」(47.8%)など、経済的な苦境が主要因だった。

 実際に2005年には8万1千人が韓国を脱出した。そのほとんどが若者である。韓国の出生率は日本よりも低い世界最低レベルで、年間出生数は50万人ほどなので、若者の6人に1人が国を捨てて海外に脱出した計算となる。

 韓国がこんな有様になってしまったのは、1997年のアジア通貨危機で、IMF(国際通貨基金)のもとで行われた構造改革がきっかけだった。それまで多くの財閥企業が過当競争していたのを合併させて、サムスン電子のような巨大輸出企業を作った。

 これらの巨大輸出企業は韓国内の労働力を低賃金で使い、グローバル・プレーヤーとして成長した。サムスン、現代、ポスコの3社の売上げだけで韓国のGDPの30%を占める。

 国内では独占企業なので、自国民には商品を高い値段で売りつけている。サムスンの利益率は海外市場では2.4%しかないのに、国内では56.1%の暴利を貪っている。

 さらに、これら3社の外国人株主比率は50%近くなので、稼いだ利益の半分は海外に持って行かれてしまう。韓国は外国資本の経済植民地状態となっている。[a]


■3.グローバル資本主義の模範生、韓国

 サムスンのようなグローバル企業が国境を越えて自由な国際市場で活躍することが、グローバル資本主義の理想とされているが、そこでは政府は市場にできるだけ介入すべきでないとされている。

 その理論的な支柱として世界中の大学で教えられている「主流派(新古典派)経済学」に対して、経済産業省の官僚かつ経済思想研究家の中野剛志氏は、著書『国力とは何か』の中で、次のように批判している。

__________
 そもそも、主流派経済学は、経済現象を合理的な個人に還元して分析しようとする。そして、その個人は、人間関係に依存し、社会の一部として存在するものではなく、物理現象における原子のような孤立した自律的な存在とみなすのである。したがって、主流派経済学は、「国民」のような概念はもたない。

 要するに、経済政策に最も大きな影響を与えている主流派経済学においては、「国家」の積極的な機能についての理論がなく、「国民」については分析概念すらないということである。[4,p73]
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 そこでは企業も、顧客や従業員、地域への思いやりを持たない「合理的な個人」として利益追求に邁進する。サムスンが韓国内で低賃金と高価格で暴利を貪り、それをテコにグローバル市場でシェアを伸ばしている姿は、まさに主流派経済学の理論に合致した模範生なのである。

 その陰で窮乏する国民、海外脱出を図る若者、極貧と絶望のなかで自殺していく高齢者の姿は、理論に入っていない。


■4.「経済民本主義」

「国家」や「国民」を考慮した思想として、中野氏が展開しているのが「経済ナショナリズム」であるが、「ナショナリズム」という用語は否定的な文脈で使われることが多いので、誤解を招きやすい。

 中野氏自身も、それが「国家資本主義」といかに違うかについて詳しく説明している。正確には中野氏の著書を読んで貰う事として、本稿では「経済民本主義」という言葉を使いたい。

 民本(みんぽん)主義とは大正デモクラシーの指導者であった吉野作造が唱えた概念で、民主主義が「民衆に主権がある」という権力のあり方を主張しているのに対し、民本主義では「民の福利を図る」という目的に着目した思想である。この場合の「民」とは、無国籍の「人民」ではなく、ある一国の「国民」である。

 したがって、経済民本主義とは、国民の幸福を目的とした経済運営ということで、上記の「経世済民」そのものであり、中野氏が「経済ナショナリズム」で説いていることとほぼ同じであると言えるだろう。


■5.経済民本主義の優等生

 経済民本主義の優等生は、グローバル資本主義の模範生とは全く違った行動をとる。

 東日本大震災では、ヤマト運輸は被災地区の125店舗を震災後10日で再開させた。大量に送られてくる救援物資やお見舞いなどを捌くために、近隣地方からも社員が駆けつけて、通常の扱い量の4倍ほどもこなした。さらに各避難所にきめ細かく救援物資を運ぶために、自衛隊の輸送の協力までした。

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 また宮城県気仙沼市にあるイオン気仙沼店は、店舗は津波で瓦礫で覆われてしまったが、常連客たちからの「早く営業して」という声に応えようと、被災の20日後には屋上にテントを張って営業を再開した。カップ麺、野菜、自転車、布団など生活必需品を並べ、開店前から500人ものお客が並んだ。[b]

 こういう企業は、利益追求のみにひた走る「合理的」な存在ではない。事業である以上、利益は必要であるが、それは必要条件の一つであって、地域社会に根づき、そこの人々と連帯意識を持ち、事業を通じて世の中に貢献したい願う存在である。


■6.経済民本主義での国民と政府

 経済民本主義では国民や政府のあり方も異なる。たとえば日本国民全体に特別課税して、復興資金として被災地に投入する事を政府が提案したとしたら、大方の国民はその負担を甘受するであろう。

 あるいは復興資金を調達するために、国債を発行したとしたら、その負担は将来世代が負うのだが、それを嫌という人々は我々の子孫の中では少ないのではないか、と予想できる。

 このように、他地区、あるいは子孫の負担において、被災地の人々を救う、というのは、「経世済民」を目指す経済民本主義の政治にとって当然のことなのだが、グローバル資本主義では一国の政府にそのような役割を負わせることは考えていない。政府の役割は、せいぜい国内の自由市場を確保するために、独占や規制を排除する程度のことでしかない。

 グローバル資本主義の優等生企業なら、利益の期待できない被災地など見捨てて、より有利な地方や他国に高飛びしてしまうだろうが、それを当然と考える国民だったら、被災地に関係のない自分が特別な税負担をする事には反対するだろう。

  政府としても、被災した地方のために税金を投入することは最小限にして、小さな政府として国民の税負担を少なくすることを理想と考えるだろう。


■7.経済民本主義の追求する理想

 経済民本主義は、どのような理想を目指すのか。

 まず国内で貧富の差が拡大する事は望ましくない。国民全体の幸福を実現することが目的であるから、韓国のように絶望した老人が自殺するしかない、というような状態は失敗であると考える。中国のようにごく一部の階級が富を独占することも、社会の健全な発展を阻害するので良くない。日本のように分厚い中間層がいることが、国全体の経済発展のためにも望ましい。

 ただ強制的な富の再分配で階級平等を目指す共産主義が必ず失敗することは、歴史が証明している。国民が自由に様々な事業に取り組んで技術革新に挑戦することが、経済発展の原動力であることは、産業革命期のイギリスや20世紀のアメリカ、そして明治維新後や戦後高度成長期の日本によって示されている。

 経済民本主義は、輸入を徹底的に制限して自国産業を保護しようとする保護貿易主義には組みしない。国際貿易は多くの場合、他国の欲する物の輸出と、自国で産出しない物の輸入を通じて、相互の国民生活を豊かにするからである。

 ただし、その逆の無制限のグルーバル経済主義にも反対する。上述の韓国のような状態になっては、国民の福利が破壊されるからである。貿易保護政策も自由化政策もそれ自体が目的なのではなく、国民の幸福を増進するための手段なのであるから、是々非々で判断すべきなのである。


■8.「おおみたから(大御宝)」の「一つ屋根」

 経済民本主義は地域主権では実現出来ない。東日本大震災の際に、東北地方だけで対応することが出来なかったのは明白である。国家として、自衛隊や警察、消防を投入して救援活動を行い、人員や予算を投下して復興に取り組んだ。地域主権とは大きな危機を想定しない、平時の幻想に過ぎない。

 逆に、民主党が唱えた東アジア共同体というレベルではどうだろうか。たとえば韓国の貧しい高齢者救済のための年金を作るので、豊かな日本人は一人10万円づつ払え、と強制されたら、我々日本人は納得するだろうか。近隣諸国との友好のために、相応の経済協力は厭わないにしても、そこまでする義理はない、と多くの日本人は感ずるだろう。

 経済民本主義は、あくまで歴史と文化を共有し、互いに同胞意識で結ばれた国民国家でこそ、もっとも良く機能する。そういう意味で、やはり日本という国民国家の単位でなければならない。

 経済民本主義の理想は、国民が仲良く助けあう家族のような状態を実現することである。家族が助け合ってこそ、一家は発展し、一人一人は幸福となり、それがさらに一家の絆を強める。実はこの理想は、初代・神武天皇の出された詔(みことのり)に「元元(おおみたから)を鎮むべし」として次のように謳われている。

__________
 人々がみな幸せに仲良くくらせるようにつとめましょう。天地四方、八紘(あめのした)にすむものすべてが、一つ屋根の下の大家族のように仲よくくらそうではないか。なんと、楽しくうれしいことだろうか。[c]
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 「元元(おおみたから)」とは民を「大御宝」と呼んだのであって、民は天照大神から依託された大切な宝物だという思想である。民本主義の「民」とは、そういう意味でなければならない。

 神武天皇から125代にあたる今上陛下は、東日本大震災で次のようなテレビ・メッセージを発せられた。[d]

__________
 国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています。
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 我が国は、民を「大御宝」と考え、「一つ屋根の下の大家族のように」暮らすことを理想として建国された。そしてその理想を脈々と伝える皇室が今も「国民統合の象徴」となっている。経済民本主義は我が国の国体に合致しているのである。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. JOG(797) 夢も希望もない韓国経済 ~ 外国資本に貢ぐ輸出企業、窮乏化する国民
http://blog.jog-net.jp/201305/article_1.html

b. JOG(699) 国柄は非常の時に現れる(上)~ それぞれの「奉公」
 自衛隊員、消防隊員は言うに及ばず、スーパーのおばさんから宅配便のおにいさんまで、それぞれの場で立派な「奉公」をしている。
http://blog.jog-net.jp/201105/article_4.html

c. JOG(074) 「おおみたから」と「一つ屋根」
 神話にこめられた建国の理想を読む。
http://www2s.biglobe.ne.jp/nippon/jogbd_h11_1/jog074.html

d. JOG(700) 国柄は非常の時に現れる(下)~「肉親の情」
 両陛下の「肉親の情」が、被災者たちに勇気と希望を与えた。
http://blog.jog-net.jp/201105/article_5.html



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