疲労は、怒りという感情を2倍、3倍と拡大させる性質を持っている。疲れている状態というのは、エネルギーがとても少ない状態です。怒りを抑えるにはエネルギーが必要。しかしそのエネルギーが足りないから、ふとわき起こった怒りを制御するのが大変難しくなるのです。

 親子は対立しあうものだし、これから思春期を迎える子どもはどんどん親に反抗してくる。それは当たり前のことと受け止めるとして、子どもの態度にいちいち怒りを爆発させていると、ますます自分の落ち込みは増し、うつっぽくなってくることもあります。

 まだまだ続いていく子育て期を強い気持ちでやっていくためには、「疲労のコントロール」とともに「怒りのコントロール」もしっかり行うことが必要です。

 私は自衛隊で、隊員達にメンタルトレーニングを行う上で、「感情への接し方」という練習を行っています。しかし、「不安」と「怒り」、この2つの感情への対処はけっこう難しく、なかでも「怒り」という感情への対処はトップクラスに難しいのです。怒りに乗っ取られると、人はなかなか冷静にはなれないもの。だからこそ、怒りをおさめる練習が有効なのです。