住宅ローンの変動金利とは、借入期間中に適用される金利が、市場の動向に合わせて変動するものを言います。では、「市場の動向」とは何を基準とするのか?その基準となるのは短期プライムレートです。固定金利の場合は、長期10年国債の金利を基準とします。他方、変動金利の場合は、短期プライムレート、つまり銀行等の金融機関が優良企業向けに、短期(1年以内の期間)で貸し出す時に適用する、最優遇貸出金利が基準となるのです。この短期プライムレートは日銀の政策金利に連動します。そして、この短期プライムレートは、2009年1月から現在に至るまで、「1.475%」と変わっていません。
現時点でも短期プライムレートがどうしてこんなに低く抑えられて変わらないのかというと、日銀は現在、日銀当座預金の一部にマイナス0.1%付利するマイナス金利政策を取っているからです。そのため短期2年国債の利回りは現時点でもマイナスのまま推移しています。仮に日銀が、現行のマイナス金利政策を解除すれば、マイナス金利政策の導入で出来上がった現行のイールドカーブに対し上昇圧力が加わり、短期金利も上昇することなります。結果として、短期プライムレートも上昇し、住宅ローンの変動金利も上昇することになるでしょう。
つまり、今後日銀がマイナス金利政策を変更、解除した場合、住宅ローンの変動金利も上昇する可能性が高いということになります。
但し、住宅ローンの変動金利の場合、急激な金利上昇で返済負担が重くなるのを避けるため、通常は「5年ルール」、「125%ルール」が設けられています。変動金利が引き上げられる場合でも、毎月の返済額が5年間は固定される5年ルール(以降5年毎に変更)、6年目に金利が見直される場合でも、その増加額は+25%以内(=1.25倍以内)にする125%ルールが適用されます。通常は、これらのルール適用により、ローンの借り手に対して急激かつ過酷な返済負担が課せられる事態を回避する仕組みとなっています。