ベストは、強みだけに目を向けて弱点を無視するのではなく、強みに主眼を置いたうえで弱点に対処する方法を見つけること。


以下を弱点の定義とする。
「すぐらた成果を得る妨げとなるもの」


これを踏まえると、戦略性の欠如は弱点ではない。円周率の平方根を知らないのが弱点でないのと同じで、戦略性がなくても困らない職務はいくらでもあるからだ。


戦略性を要する職務に着いた時、それは弱点となってしまうが、その場合の対処方法は、以下の3点を見極める必要がある。

1.技術に関する弱点か。
2.知識に関する弱点か。
3.才能に関する弱点か。


必要な知識や技術を身につけても標準以下の成果しか得れなかったら、才能が欠如していると、消去法で見極める。




【5つの弱点に対する対処法】

①少しでも良くする
伝える、耳を傾ける、約束を守る、責任を持つなどは、ほとんどの職務に最低限要求される行為である。
資質に「コミュニケーション」「共感性」「規律性」「責任感」などがなければ、少しでもよくなるように頑張ろう。


②サポートシステムをつくる
A.整理整頓が苦手なマネージャーは、ひと月に一度強制的に机の上から引き出しの奥まで完璧に片付ける。
B.集中力が持続しない教師は、一度に採点する答案用紙は5枚までと決め、5枚終わると机から離れてコーヒーを飲む。
このような弱点を気にしなくてもいいサポートシステムがあれば、強みを育てることに時間をかけれる。


③才能の力で弱点に打ち勝つ
4歳の頃から吃音癖が出て、話すのが不得意だったマイクは、小学生の時に全校生徒の前で朗読する機会を与えられた。見せ物になってしまう事を強く恐れたが、いざ壇上に立つと精神が高揚して力が湧き、朗読を大成功させた。
マイクは自我とコミュニケーションの資質に恵まれていたため、人前に立つことで気持ちを落ち着かせて、内に秘めた思いを解き放ち自らを表現できた。
そんなマイクは今、1年先まで予定が詰まっている企業コンサルの講演者。


④パートナーを見つける
人事のスペシャリストを雇い、部下一人一人の個性を知るための助言を得ている、個々の相違点わ見極めるのが苦手な会社役員。
判例調査を喜んでやってくれる人を雇った、法廷で有無を言わせぬ弁論の才能があっても図書館で判例法を調べるのが苦手な弁護士。
彼らは弱点を分析したのではなく、潔く認めて人に助けを求めただけである。


⑤とにかくやめてみる
共感性にかけたマネージャーのメアリーは、部下に対して「あなたたちの事を理解する力が私にはないので、伝えたいことがあったら伝えに来て欲しい」と伝えた。
それ以降、わかったふりをすることは一切なくより信頼を得て飛躍した。




以上の5つは強みを中心に据えた人生を築くのに役立つ。

一つの資質だけが効力を持つことで、弱点になるということはない。
不作法な人は「指令性」が強過ぎるのではなく「共感性」が弱い。短気な人は「達成欲」が強過ぎるのではなく、「未来志向」の才能に掛けている。

良い成果を上げれない人には、資質を抑えさせるのではなく、先に挙げた5つの戦略から効果的な物を選ばせるとよい。



さあ、じぶんの才能に目覚めよう
第3部 強みをビジネスに活かす
第5章 疑問を解く
P216~P229より