少しずつ暖かくなって来ましたね。

伊豆半島南端では河津桜が満開のようです。

しかし、東ヨーロッパでは、ウクライナへのロシア侵攻など悲しい事件が起きています。

ドニエプル川に面したウクライナの首都キエフの少し上流には、ソビエト連邦に組み入れられていた時代に、福島原発と同様多大な放射能漏れを起こしたチェルノブイリ原発がありました。

キリスト教の聖地の一つに数えられる聖ソフィア大聖堂などもあるキエフですが、受難の地なのかも知れません。

ウクライナと言えば、筆者の若いころ、短波放送でラジオキエフの放送を受信してヴェリフィケーションカードをもらったような記憶もあり、親しみを感じるのですが、どうか無事に収まってほしいと願うばかりです。

さて、今回は下図のように近々国際ロボット展が開かれるようなので、ロボットを題材にロボットのある未来について考えてみたいと思います。

昔は、隔離された危険空間で、NC加工や塗装などの産業用ロボットが働いていましたが、近年は、人と対面して応対するような人型ロボットや、介護や癒しなどを目的としたカウンセリングロボット、危険区域を2足や4足で歩行する軍事・防災ロボットなど、多彩なロボットが登場しています。

この流れは産業用ロボットにも適用されて、最近では作業者と協働して働く安全隔離の要らない産業用ロボットも登場しています。

そのような協働ロボットは、安全用防護設備が不要なため設置が容易で導入コストも削減でき、作業者の高齢化やウイルス感染リスクなどの影響もあり、今後増えていくことが予想されます。

そうなると、これまでは人と隔離されて作業していた産業用ロボットが、人の身近な存在として人とコミュニケーションを取りながら働く必要性が出てきます。

そこでは、産業用ロボットにも五感に近いセンサが装備され、AI（人工知能）コンピュータが求められることになるのかも知れません。

以前にお話したように、作業者はロボットにニックネームを付けて、話をしながら、魂を込めて扱う存在になるのかも知れません。

そして、このようなロボットは、工場などの現場のみならず、病院や介護施設、飲食店、学校、・・・と、人の代わりに単純作業を行ってくれる召使い的相棒として、一般施設にも採用が広がっていくでしょう。

しかし、このような一般施設に組み込まれた状況では、素人が取り扱うことになり、難しい操作や、次々に新モデルを購入して更新して行くなどの余裕はなく、現在のような手のかかる産業ロボットモデルのレベルでは、一時のブームだけで衰退してしまうかも知れません。

そのような課題を解決するためには、以前にお話したように、シンプルに磨き抜かれた機能と操作性、働きながら自ら成長し人に優しく接することのできるコンパクトなAIコンピュータ、性能アップや故障交換などのためのハード交換を容易にする標準化された交換しやすいインタフェース、そして、それを支えるサブスク的サービスなどが必要になることでしょう。

また、昨今のAIスピーカやスマホなどに搭載された音声会話型のコミュニケーションインタフェースは、ロボットとの新しいコミュニケーションの形を予感させます。ただし、セキュリティ上の問題を考えた時には、例えば「開けゴマ」などの呪文や合言葉のような使用者だけが知っているパスワードや声紋、顔の登録と認証などが必要でしょう。そして、使用者の好みや癖、相性などを把握して、相手に合わせて行動してくれる賢い存在であればなお頼れる存在になっていくのかも知れません。

このようにして運用課題を解決していくことができれば、移動用バッテリの容量増やコスト減、走行技術の進化、コミュニケーション技術の進化、などと相まって、確実に普及して行くに違いありません。

そして、ロボットの進化はいずれ人間との協働作業の域を超えて、ロボットのみで作業をこなすようになるので、人間は単純作業から解放されて、所得を減らすことなく、さらなる労働時間の短縮と、自由時間の拡大により、本来人間として学ぶべき分野に集中したり、余暇を楽しんだりできるようになるでしょう。

ただし、このようなロボットに支えられた未来の実現は、以前からお話している競争による経済活動からは決して生まれては来ないような気がします。

なぜなら、そのような経済競争に支配された社会では、ロボットもあくまで合理化の道具で富の集中に依存した資産となり、コスト競争に打ち勝つためにロボットで得た高い生産性によって不要となった余剰人員は職を奪われ一層貧しい生活を強いられるようになるからです。

したがって、稼げる競争優位性を持つ強者は自らの存在価値を示すために可能な範囲で弱者にも施しを行い、新しい協創・協奏・協調による適切な富の分配が行われる調和の取れた経済活動を実践していけるような社会が求められるように思われます。

ロボットと共存できる明るい未来を築くために、自分の利益だけを追い求めるだけではなく、他者や社会にも目を向けて、幸せをみんなで分かち合える社会を目指していきたいですね。

新しいロボットの未来