久しぶりにブログを投稿させていただきます。

ネットなどでよく見かけるのですが、日本の王朝がユダヤ人と関係があるのではないかという所謂「日ユ同祖論」について、少し無謀ですが、今回は①～③の3部構成にて少し踏み込んで検証してみたいと思います。

その根拠となっているのは、ソロモン王亡き後、イスラエル王国が北の「イスラエル」と南の「ユダ」に分裂し、まず北のイスラエルがBC8世紀にアッシリアの攻撃を受け、アッシリアへの捕囚と離散により、「失われた10部族」として行先が不明になったという点です。

そして、その後も続いてBC6世紀には南のユダが新バビロニアに征服され、例の「バビロン捕囚」としてバビロニアに捕虜として連行されるという災難を被るのです。

その他にも、ご存知の通り、ナチスドイツによるユダヤ人の強制収容と大量虐殺が繰り広げられました。

このようにユダヤ人は受難の民なのですが、自らは神に選ばれた民であることを自負し、確かにあの有名な相対性理論などの現代科学の基礎を築いたアルベルト・アインシュタインを始め多くの著名な人物を輩出しており、米国や多くの国で金融界などで世界を牛耳る優秀な国民であることは間違いありません。

そのユダヤ人と日本人が同祖であるという仮説が生まれたのは、明治期に来日したスコットランド人のニコラス・マクラウドという人が、日本と古代ユダヤとの相似性に気付き、世界で最初に日ユ同祖論を提唱したのがきっかけで、前述の「失われた10部族」の行先が日本ではないかという点が根拠になっているようです。

一見すると、ユダヤ人は白色人種で蒙古斑もなく、皇族も含め日本人とはまったく別の人種と思えます。

しかし、古代イスラエルは複数人種の部族で構成されていたようですし、中東から中央アジアにかけてはコーカソイドとモンゴロイドの混ざり合った境界地域でもあるので、流浪の民が混ざり合っても不思議ではありません。

「失われた10部族」のBC8世紀頃には、中国は周（西周）の時代で、その西は「西戎」、東は「東夷」、北は「北狄」、南は「南蛮」と呼ばれ、殷や周王朝から蛮族として扱われていました。

その西戎の中に「羌（きょう）」という遊牧民族の国家があり、その文化や風習がユダヤ人のそれと似ており、顔かたちや蒙古斑など身体的特徴は日本人に類似しているのです。

これについては、世界を股にかけ「失われた10部族」を探し求める任務を負うイスラエルの国家機関「AMISHAV（アミシャーブ）」も同様の見解を持っているようです。

現代の中国においても、羌族の流れを汲むチャン族という少数民族が、雲南省・四川省などの少数民族自治区に居住しており、日本人と同様蒙古斑のあるモンゴロイドで、顔かたちも日本人とよく似ていて、神道や仏教に根差した日本と同様に多神教を信仰する民族なのです。

現代のユダヤ教はヤハウェを唯一神とする一神教ですが、ダビデ王やソロモン王の頃の古代イスラエルでは、多神教が信仰されていたようで、遺跡からはその証拠となる祭壇や女神像などが発掘されており、この点でも共通していることがわかります。

旧約聖書「エステル記」には、ソロモン王の呼びかけに応じて東方の女王：シバの女王が表敬訪問したという話がありますが、シバの女王からの謎かけとして以下のように古事記と共通する点も見受けられます。

「木の貯水槽に鉄のつるべ、つるべは石を汲み上げて水を流す。→ 採掘した花崗岩に水をかけて磁鉄鉱を取り出す → 山砂鉄の採掘方法?。その頭を嵐が駆け抜け、大声で泣き叫ぶ。その頭は葦のよう。それは自由人には栄誉の種で、貧乏人には不名誉の種。死せる者には栄誉の種、生ける者には不名誉の種。鳥にとっては喜びの種、魚にとっては嘆きの種。→　亜麻（天草）　→　天　→　考える葦＝人類？」

そして、ウィキペディアの「羌」のサイトによると、BC5世紀に戎族出身の無弋爰剣（むよくえんけん）という指導者が現れ、彼の一族に率いられた者たちが羌族を形成して行くらしいのですが、この人が史記にも登場する「斉」を建国した「姜（きょう）姓」の太公望（呂尚）や「夏」を建国した禹（う）という人と重なって見えてきます。

夏と言えばAD11世紀の中央アジアにも存在した羌族系タングートチベット族国家「西夏」の国号も「夏」と同じになります。

さらに、夏は夏后とも呼ばれ、黄河文明として広く知られている「殷（商）」の前のBC1600年以前に存在したとされる伝説的な中国最古の国家で、殷に滅ぼされ、そして殷は太公望が軍師として働いた周によって滅ぼされるのです。

羌（きょう）≒姜（きょう）でいずれも羊を飼う遊牧民族に由来し、姜（羊＋女）＝羌＋姫（女偏で周の国姓）とすると、「羌族」と「周」の融合 → 「姜姓」を連想させます。

史記によると、禹が帝堯という伝説の王の命を受け黄河の治水工事を成し遂げ夏王朝を建国することになっているのですが、これが「周」王朝の諸侯国「斉」の太公望の話（太公望は禹の治水工事を支え功労のあった先祖を持つと記されている → 太公望の治水工事を禹に重ね合わせ？）に繋がっているのです。

羌

ja.wikipedia.org

前述のBC5世紀と、太公望が斉を建国したとされるBC11世紀とは、大きな年代的隔たりがあり、矛盾があるように見えますが、甲骨文字や遺跡が見つかっている殷や周以外の国の実際の年代は史記などの史書の記載に依る所が大きく、以前に「邪馬台国のFAQ」で紹介させていただいた通り、意図的な歴史背景も手伝ってか、かなり年代的誤差や表向きな事実の隠蔽・改変と、暗号が含まれている可能性があり、失われた10部族がBC8世紀のことなので、その系統と羌族や太公望呂尚が同じ系統であったとしても不思議ではありません。

話が長くなってきたので、今回はこの辺で終わりにしたいと思いますが、次回は史書をさらに深掘りして、もう少し核心に迫ってみたいと思います。

乞うご期待ください。

ユダヤの軌跡①